【取材】地産フルーツ輸出にブロックチェーン、chaintopeらがトレーサビリティ実証に成功

地産フルーツ輸出にブロックチェーン、トレーサビリティ実証に成功

株式会社chaintope(チェーントープ)と九州農産物通商株式会社が、ブロックチェーン技術を活用した地産フルーツ輸出のトレーサビリティ実証に成功したことが14日に分かった。

具体的に第一回の実証実験は8月下旬から9月上旬にかけて実施され、福岡県八女市産巨峰及び川崎町産シャインマスカットの輸出が実証の対象となった。 それぞれの産地の出荷担当者がスマホアプリを利用してトレーサビリティ情報を記録、その商品が九州農産物通商により輸出され香港の店舗へ届けられたとのこと。

そして香港の青果店を訪れた顧客にぶどうのパッケージに貼り付けたQRコードをスキャンしてトレーサビリティ情報を閲覧してもらい、トレーサビリティ情報の有無による「顧客の購買行動や意識の変化」のアンケート調査が実施された。

なおこの実証にはchaintopeが開発するエンタープライズ向けのブロックチェーン「Tapyrus(タピルス)」が利用されている。

そしてこの実証は福岡県の先端情報技術開発・実証支援事業補助金に採択されているものとのこと。

なお第二回の実証実験は2022年1月に予定されており、博多あまおうをトレーサビリティの対象となる予定とのことだ。またchaintopeは今回構築したシステムをトレーサビリティAPIとして開発しており、今後農協や貿易会社、地方自治体、農家などにサービス提供していくとのことだ。

chaintope事業開発マネージャーの北川広氏に取材

「あたらしい経済」はchaintope事業開発マネージャーの北川広氏に取材した。

−国内のブランド農産物の種苗が、海外で無断で販売される、利用されるなどの問題があります。今回の取り組みが発展すれば、そのような問題解決も可能でしょうか?

日本産のブランド果実は世界的にも非常に人気が高く、この素晴らしい日本ブランドを守るためにブロックチェーン技術を活用していければと考えております。今回の実証では、提供する側が正しさを自ら保証する仕組みを採用しました。

近年、日本独自ブランドの種苗の海外流出が問題となり法規制も進んできています。日本独自ブランドの流出を防ぐためには、生産側は当然として販売側でも適正な商品を仕入れること、そして不正な商品を仕入れないことが重要です。

そのためのファーストステップは、まず不正があることが広く認知され、関係者がそれに対応し不正を排除することです。今回の取り組みは、日本独自のブランド農産品を守るためのファーストステップと考えております。

また、今回の仕組みが自治体や国といった公的機関で採用されることで、そのトレーサビリティ情報のない商品は日本独自ブランドとしては認められない等の活用方法が考えられます。

今回の実証においても福岡県から多くのサポートをいただきながら取り組んでおり、今後も自治体や国など公的機関のご理解ご協力をいただきながら進めていきたいと考えております。

−出荷主が入力したトレーサビリティ情報をそのまま消費者に届けるために、どのような統制がされているのでしょうか?

出荷主情報とトレーサビリティ情報は分けて記録をしています。生産者などの出荷主情報については提供いただいた情報を信用して記録しています。トレーサビリティ情報の入力については、出荷主だけでなく中間流通事業者においても登録手続きとチェックが必要です。

なお、今回の実証では、どこで生産されたものが、どこから出荷され、どこを経由して、どこの消費者に届いたかを時系列でブロックチェーンに記録しています。各情報の入力統制要領ついては運用主体によって異なってきます。

今回のような自治体主体の取り組みの場合、生産~出荷~中間流通~販売の全工程を自治体が当事者として管理することができるため、日本各地の名産品のブランド価値を自治体主体で守る仕組みとなることを期待しています。

参考:chaintope
デザイン:一本寿和
images:iStocks/Kateryna-Bereziuk

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。 「あたらしい経済」の編集者・記者。

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