銀行の暗号資産保有に厳しい提案、バーゼル銀行監督委員会

銀行の暗号資産保有に厳しい提案、バーゼル銀行監督委員会

G10(主要10カ国)諸国の中央銀行総裁会議での合意によって創設された機関であるバーゼル銀行監督委員会が、ビットコインやその他の暗号資産(仮想通貨)へのエクスポージャーを持つ銀行に厳しい自己資本規制を課すことになるという趣旨の提案文書を6月10日に発表した。

今回の提案は既に存在するバーゼル規制に暗号資産などを反映させる提案となっている。

既存のバーゼル規制では、銀行が保有するさまざまな種類の資産にリスクウェイトを設定し、それらを合計して必要事項資本を決定することになっている。リスクウェイトとは、BIS(国際決済銀行)による自己資本比率規制において、分母となる資産について適用されるリスク度合に応じた掛目のことだ。

暗号資産について、バーゼル委員会は2つの大きなグループを提案している。1つはトークン化された資産やステーブルコイン、もう1つはビットコインなどだ。リスクを考慮して厳しい資本規制を行うのは、ビットコインに関するグループだ。

今回のバーゼル規制で提案されたビットコインなどに対するリスクウェートは1,250%と高い比率になっている。このリスクウェートの計算式に基づくと、仮に1BTC=100万円とした場合、1,250万円と算出される。

つまり1BTCを保有する銀行はバーゼル規制の自己資本比率規制水準8%以上を満たすためにより多くの資本が必要となる。

また今回のバーゼル提案ではこの規制が必要最低限のものであることを示していて、銀行自身の裁量でさらに厳しい要件を設定する余地があると指摘している。

参考:三菱UFJ銀行Basel Committee on Banking Supervision
images:iStocks/RRice1981・Ninja-Studio
デザイン:一本寿和

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。 「あたらしい経済」の編集者・記者。