JPモルガンなど20社が利用契約
米証券保管振替機関DTCCが、証券トークン化サービス「DTCCトークナイゼーションサービス(DTCC Tokenization Service:DTS)」の提供開始を10月28日に発表した。運営は、証券保管を担う子会社DTCが行うとのこと。
DTCCの公式サービスページによると、開始時点でトークン化に対応する証券は34銘柄だ。
DTSは、DTCが保管する証券に関する権利をトークンとして発行するサービスだ。利用対象のDTC参加者は、従来の帳簿上で管理する形式とトークン化された形式を相互に変換し、DTCに登録したデジタルウォレットでトークンを保有できる。
発行されるトークンは、DTCが保管する証券に1対1で裏付けられ、元の証券と同じ法的権利や経済的利益、投資家保護を維持するという。同一ブロックチェーン上のDTC登録済みウォレット間では、24時間365日の直接移転が可能だ。
開始時点の対応ネットワークは、「カントンネットワーク(Canton Network)」と、イーサリアムクライアント「ベス(Besu、旧称:ハイパーレジャー・ベス)」を利用したDTCCのプライベートネットワークだ。2027年には、対応するブロックチェーンを追加する予定だという。
発表時点で、JPモルガン(J.P. Morgan)、シティ(Citi)、バンク・オブ・アメリカ(Bank of America)、モルガン・スタンレー(Morgan Stanley)、フィデリティ・インベストメンツ(Fidelity Investments)など20社のDTC参加者が利用契約を締結している。DTCCは今後、利用者を順次受け入れるとしている。
DTCCはDTSを通じて、既存の金融市場とブロックチェーン上の市場をつなぎ、資産移転や担保活用の効率化につなげる方針だ。
今回のサービスは、米証券取引委員会(SEC)の担当部門が2025年12月11日付で発行したノーアクションレターに基づく。同レターは、一定の条件の下で、特定の法令・規則に基づくDTCへの法執行措置をSECに勧告しない方針を示したものだ。対象証券の範囲には米株価指数「ラッセル1000(Russell 1000)」の構成銘柄、主要指数に連動するETF(上場投資信託)、米国債が含まれる。
なおDTCCは、5月4日に同サービスの開発状況とスケジュールを公表していた。当時は、7月に限定的な本番取引を実施し、10月にサービスを開始する計画としていた。
5月時点の開発には、50社超の金融機関や関連企業が業界ワーキンググループとして参加し、ブラックロック(BlackRock)、ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)、サークル(Circle)、ロビンフッド・マーケッツ(Robinhood Markets)などが名を連ねていた。
その後、DTCCは7月15日に、DTC保管資産をトークン化して本番環境での取引に使用したと発表していた。この取り組みには30社超が参加し、担保の差し入れや証券貸借、米国債・株式の取引などが行われたという。
今回の開始発表では、開発に意見を寄せたワーキンググループの参加企業は150社超となっている。
The DTCC Tokenization Service is now live, and this is only the beginning. Explore the service: https://t.co/3sW0L9UTxy https://t.co/0wjLHI078F
— Depository Trust & Clearing Corporation (@The_DTCC) October 28, 2026
参考:DTCC・DTCC公式サービスページ
画像:PIXTA