米CFTC、ポリマーケットの2022年和解違反の有無を再調査

海外版の米国ユーザー利用制限や米国版の顧客保護策を精査

米規制当局が、予測市場を運営するポリマーケット(Polymarket)について、主要な海外向けプラットフォームから米国ユーザーを排除すると約束した2022年の和解合意に違反したかどうかを調査している。事情に詳しい関係者2人が明らかにした。昨年、法的措置を取らずに打ち切った調査が、再開された形だ。「ロイター(Reuters」が10月27日に報じた。

関係者によると、米商品先物取引委員会(CFTC)は、今年に入ってから同社に対して開始した広範な調査の一環として、米国ユーザーによる同プラットフォームの利用を防ぐため、ポリマーケットが十分な措置を講じていたかを調べている。関係者の1人によると、調査は同社の過去の管理体制や手続きに焦点を当てている。

CFTCは、この調査の一環として、顧客の所在地を判定するための管理体制に加え、米国内での広告活動も調べているという。

ポリマーケットはニューヨークを拠点とし、パナマに登記された海外法人を有している。

またCFTCは、同社が昨年末に展開を開始した米国向けプラットフォームについても、顧客の受け入れ手続きや顧客保護策などを調べている。関係者2人は、非公開の法執行に関する問題について話すため、匿名を条件に取材に応じた。

今回の調査のこうした詳細を報じるのは、ロイターが初めてだ。「ウォール・ストリート・ジャーナル」や「ブルームバーグ・ニュース」などは6月、CFTCがポリマーケットを広く調査していると最初に報じたが、詳細はほとんど明らかにしていなかった。ブルームバーグは、CFTCが同社に関連するソーシャルメディア上の活動を調べているとも報じていた。

CFTCとポリマーケットの広報担当者は、コメントを控えた。調査が行われていることは、必ずしも不正行為があったことを意味せず、法執行措置に至らないケースも多い。

それでも、今回明らかになった詳細は、CFTCと米司法省が昨年、ポリマーケットによる2022年の和解合意違反の有無を巡る同様の調査を終了した理由について、改めて疑問を投げかけるものだ。この和解は、ポリマーケットが2020年のサービス開始以来、米国で違法に事業を運営していたとする当時のCFTCの指摘を巡り、成立したものだった。

両当局は、調査終了の判断について説明していない。司法省の広報担当者は、今回の取材でもコメントを控えた。

予測市場では、スポーツや政府の政策発表、選挙など、現実の出来事の結果に賭けることができる。ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の第2次政権下での支援的な政策も追い風となり、この業界は過去2年間で急拡大した。大統領の息子であるドナルド・トランプ・ジュニア(Donald Trump Jr.)氏がパートナーを務める投資会社1789キャピタル(1789 Capital)が、ポリマーケットに出資している。

こうしたプラットフォームの成長に伴い、インサイダー取引の新たな手段になっていると懸念する民主党議員や市民団体から、厳しい目が向けられている。また、今週のブラジルを含め、最近の政治における予想外の結果を受け、予測の正確性にも疑問が生じている。

ポリマーケットは、管理体制を刷新したと説明している。同社によると、地理的な利用制限を回避するための仮想プライベートネットワーク(VPN)や類似ツールの使用を明確に禁止している。また、不正行為を監視し、利用制限の対象となるユーザーが海外向けプラットフォームにアクセスするのを防ぐため、広範な管理措置を設けているという。

ポリマーケットの調査・インテリジェンス部門のグローバル責任者であるシャナ・バウティスタ(Shana Bautista)氏は8月、ロイターに対し、米国ユーザーによる利用制限の回避は「それほど広く起きている問題ではない」と述べていた。

バイデン政権下の当局が2024年に調査を開始

バイデン政権下の当時のCFTC幹部らとの交渉を経て成立した2022年の和解で、ポリマーケットは米国ユーザーへの市場提供を停止することに同意した。しかし、同プラットフォームで2024年の米大統領選に関する賭けが増えるにつれ、政治評論家やソーシャルメディアのユーザーから、米国人がポリマーケットの利用制限を回避しているのではないかとの疑問が上がった。

ロイターなどが当時報じたところによると、CFTCは選挙の数カ月前、ポリマーケットが和解合意を順守しているかどうかの調査を開始した。司法省も関連する捜査を開始し、米連邦捜査局(FBI)は2024年11月、ポリマーケットの最高経営責任者(CEO)であるシェイン・コプラン(Shayne Coplan)氏のニューヨークの自宅を捜索した。

その2カ月後にトランプ政権が発足し、両当局に新たなトップが任命された。コプラン氏は2025年7月15日、CFTCと司法省が調査を終了し、同社の不正行為の疑いが晴れたと、Xへの投稿で述べた。

その1週間後、ポリマーケットはCFTCの認可を受けたデリバティブ取引所を買収したと発表した。この取引所が、同社の米国事業の基盤となった。CFTCに登録されたプラットフォームには、顧客保護や市場での不正行為防止に関する一定の要件を順守する義務がある。

CFTCのデータによると、第2次トランプ政権下では、同委員会の法執行活動全体が低迷している。一方、同委員会の法執行部門責任者であるデービッド・ミラー(David Miller)氏は、就任初月に当たる3月、予測市場を積極的に取り締まると述べていた。

4月には、ポリマーケットの海外向けプラットフォームで内部情報を利用した賭けにより40万ドル(約6,300万円)の利益を得たとして、司法省が米兵を刑事起訴し、CFTCも民事提訴した。この件を受け、同社の管理体制に改めて疑問が生じた。

起訴状によると、無罪を主張しているギャノン・ケン・バン・ダイク(Gannon Ken Van Dyke)被告は、VPNを使用し、所在地が国外と判定される出口ノードを経由して、同プラットフォームにアクセスしたという。ポリマーケットは当時、この件を当局に通報したと説明していた。

※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Exclusive-US agency is again probing if Polymarket broke 2022 settlement, sources says (Reporting by Chris PrenticeAdditional reporting by Douglas Gillison; editing by Michelle Price and Nick Zieminski)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
画像:Reuters

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大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 副編集長 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。