自民党国家サイバーセキュリティ戦略本部、暗号資産の追跡強化を提言。耐量子暗号への移行加速も

「サイバー有事前夜」と警鐘、DID・VCの有用性検証も求める

自民党の国家サイバーセキュリティ戦略本部(本部長:平将明衆議院議員)がまとめた「サイバーセキュリティ対策の抜本的強化に関する提言」が、10月22日の党政調審議会で了承された。平氏が同日、自身の公式サイトで公表した。

同本部は10月20日に提言を取りまとめた。背景には、企業へのサイバー攻撃や大規模な個人情報漏洩が相次いでいることがある。提言では、現状を国民のプライバシーや財産、経済安全保障などを脅かす「サイバー有事前夜」と位置付け、政府に対策の抜本的強化を求めている。

暗号資産(仮想通貨)に関しては、警察庁に対し、不正に取得された暗号資産の追跡を積極的に実行するよう求められた。米連邦捜査局(FBI)やユーロポールなどとの国際共同捜査に主導的に参画し、犯罪者が利用するサーバーなどの無害化と併せて、サイバー犯罪組織への抑止力を高めるよう要請されている。

また同提言では、国家サイバー統括室(NCO)には、耐量子計算機暗号(PQC)への移行加速を求められた。日本の政府機関等で優先度が高いと判断するシステムについて、早期の期限を定めて移行を進めるべきとされている。

なおPQCは、将来の量子コンピューターによる攻撃にも耐えられるよう設計された暗号技術を指す。

総務省への提言では、政府機関や重要インフラなどの重要機関間の通信を保護するため、PQCに量子暗号通信(QKD)を加えた二重の防護を提案された。具体策として、東名阪のQKDネットワークの整備加速を求められている。

デジタル庁への提言には、Web3時代の信頼の基盤として、分散型ID(DID)と検証可能なクレデンシャル(VC)の有用性の検証が求められた。マイナンバーカードの公的個人認証(JPKI)を民間システムに組み込むことの促進も盛り込まれた。

経済産業省や金融庁などへの提言では、金融機関の経営陣が関与したサイバー対策の実施を促すよう求められた。金融業界全体の対応力を高めるため、業界横断のサイバーセキュリティ演習や知見共有の強化も挙げられている。

政府全体には、官邸主導の「サイバー対処本部(仮称)」の設置が提案された。省庁横断の対応を進めるとともに、AIを活用した防御技術の開発・実装や、専門人材の育成・確保などが求められている。

参考:平将明衆議院議員公式サイト・自由民主党公式ニュース・提言全文(平将明氏公式サイト掲載)・NIST「What Is Post-Quantum Cryptography?」
画像:PIXTA

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大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 副編集長 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。