イーサリアムL2「アブストラクト」、12/15に運営終了へ。資産移行呼びかけ

消費者向けチェーンの持続困難と判断、イグルーはPudgy Penguinsに注力

イーサリアム(Ethereum)のレイヤー2(L2)ネットワーク「アブストラクト(Abstract)」の運営が12月15日に終了する。公式Xより10月7日(日本時間)に発表された。

アブストラクト運営チームは、利用者に閉鎖日までに資産をチェーン外へ移すよう求めている。期限までに移行されなかった資金にはアクセスできなくなるという。

資産移行には、公式の移行案内サイト「マイグレーション・ハブ(Migration Hub)」またはネイティブブリッジが利用できる。ネイティブブリッジでは、約3時間の待ち時間が生じるとのこと。ブリッジは、異なるブロックチェーン間で資産を移す仕組みだ。

また、アブストラクトの技術チームとエコシステム担当チームは、同ネットワーク上のプロジェクトが他のチェーンへ移行する際の支援を行うという。利用者に対しては、偽の移行サイトや運営を名乗るダイレクトメッセージに注意し、公式チャネルで移行先のリンクを確認するよう呼びかけている。

閉鎖の理由について同チームは、「消費者向け暗号資産(仮想通貨)分野に特化したチェーンを単独で運営するモデルは、持続不可能だと判明した」と説明した。限定的なDeFi(分散型金融)のエコシステムや薄い流動性、機関投資家との接点の乏しさ、競合より限られた予算によって、成長が停滞したという。

同チームは、過去12カ月にわたり市場の需要に合う事業モデルやチェーンの成長に向けた方策を模索したとしている。しかし、持続可能な運営や成長を実現できないチェーンに資源を投入し続けることは適切ではないと判断し、運営終了を決めたとのことだ。

発表によると、アブストラクトにはこれまで144を超えるアプリが展開された。レッドブル・レーシング(Red Bull Racing)やディズニー(Disney)などのブランドとの取り組みを通じ、40万人を超える利用者を迎え入れたという。

また、アブストラクトの共同考案者の1人であるルカ・ネッツ(Luca Netz)氏も同日、自身のXで運営終了の経緯を説明した。同氏は、NFTプロジェクト「パジー・ペンギンズ(Pudgy Penguins)」を手がけるイグルー(Igloo)のCEOだ。イグルーは傘下のキューブ・ラボ(Cube Labs)を通じ、アブストラクトの開発を統括・支援してきた。

同氏によると、イグルーは過去18カ月にわたりアブストラクトに資金を提供してきた。消費者向け製品の開発やチーム構築、ブランドの誘致などに取り組むなか、過去2年で数千万ドル(数十億円規模)の損失が生じたという。市場の需要に合う事業モデルや持続的に成長する道筋を見いだせず、パジー・ペンギンズ事業から資金を投入し続けることは正当化できなくなったとしている。

ネッツ氏は、アブストラクトのトークン発行やICO(新規暗号資産公開)を見送った判断についても説明した。同氏は、発行する選択肢もあったが、需要を生む仕組みへの確信がないままトークンを発行することは、コミュニティの利益にならないとの考えを示している。

イグルーは今後、パジー・ペンギンズのブランド事業やNFT、関連トークン「PENGU」に注力する方針だ。

画像:PIXTA

関連ニュース

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 副編集長 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。