米SEC、暗号資産企業の資金調達規制緩和巡る会合を急きょ延期

SECが暗号資産向け特別募集制度の規則案巡る採決を延期

米証券取引委員会(SEC)は8月13日、特定の暗号資産(仮想通貨)に関する投資契約を対象とした新たな募集制度の規則案を公表するかどうかを審議するため、14日に予定していた公開会合を急きょ中止した。

SECの報道官は声明で、「予期せぬ日程上の問題」により会合の日程を変更すると述べた。ただし、8月17日時点で新たな開催日は公表されていない。

SECは、暗号資産スタートアップ向けの期限付き登録免除などを含む、特別な募集制度を設ける規則案を公表するかどうかを採決する予定だった。

今回の延期に先立ち、米上院は暗号資産業界が最優先課題に掲げる「クラリティ法案(CLARITY Act)」を採決しないまま、8日にワシントンを離れ、5週間の休会に入った。ロイターは、残された会期が限られることなどから、同法案の成立可能性が低下したとの見方を伝えている。

一方、上院では8日、同法案の審議入り動議に対する討論終結動議が提出された。同動議は9月15日に採決可能な状態となる予定であり、法案の審議手続き自体は継続している。

ロビイストらによると、クラリティ法案が成立すれば、デジタル資産市場向けの新たな連邦規制枠組みが整備され、関連企業の法的基盤がより安定するという。

ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が任命したポール・アトキンス(Paul Atkins)SEC委員長のもと、SECは暗号資産政策を転換している。トークンやブロックチェーンを利用した取引に対応するため、資本市場規制を抜本的に見直す広範な計画も示してきた。

ゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)前SEC委員長のもとでは、取り扱う一部の暗号資産が証券に該当するなどとして、複数の暗号資産企業が提訴された。SECは、各社が登録義務などの連邦証券法上の規則に違反したと主張していた。

これに対し暗号資産企業は、大半のトークンは証券よりも商品に近いと主張している。アトキンス氏も「大半の暗号資産自体は証券ではない」との立場を示している。

同氏は3月、企業によるトークン販売と資金調達を容易にする「セーフハーバー」について、規則案の検討を求める構想を示した。

また同氏は、特定の暗号資産に関する投資契約の募集について、連邦証券法上の登録義務を一定期間免除し、調達額に上限を設ける「目的に即したスタートアップ向け免除措置(fit-for-purpose startup exemption)」も構想として示した。

トランプ氏は選挙戦で暗号資産業界からの資金を積極的に募り、自身の一族も独自トークンから利益を得ている。同氏は第2次政権で暗号資産規制改革を優先課題に位置付けてきた。

トランプ政権下でSECは昨年、厳格な暗号資産会計指針「スタッフ会計公報第121号(SAB 121)」を撤回した。また、コインベース(Coinbase)やバイナンス(Binance)などがSEC規則に違反したとして提起していた訴訟を、相次いで取り下げた。

SECは「イノベーション免除措置(innovation exemption)」の策定も進めている。アトキンス氏の構想では、企業がトークン化株式などの新たなデジタル資産ビジネスを実験できるよう、一部のSEC規則や要件を適用除外とする。一方、取引量の制限や利用者のホワイトリスト登録、適用期間の設定なども想定されている。

※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
US securities regulator cancels meeting to vote on crypto rules
(Reporting by Hannah Lang in New York; Editing by Rod Nickel and Shri Navaratnam)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
画像:Reuters

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大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 副編集長 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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