日立、デジタル資産取引におけるAML実証実施。実務適用可能性を確認

日立、デジタルアセット取引におけるAML実証実施

日立製作所が、金融機関や暗号資産関連事業者など、暗号資産(仮想通貨)・ステーブルコイン・NFTなどのデジタルアセット取引におけるマネー・ローンダリング対策に向けた、不正検知の早期化と精度向上を目的とした実証実験を実施し、実務適用可能性を確認したと7月30日に発表した。

なお同実証は、金融機関、暗号資産交換業者、関連サービス事業者など17社と共同で3月から5月にて実施したという。同実証は、デジタルアセット取引における金融犯罪リスクに対し、日立が中心となって関係各社と推進する、日本発の業界横断型アンチ・マネー・ローンダリング(AML)モデルの社会実装に向けた取り組みとのことだ。

日立は2025年より、各社との連携によるデジタルアセット市場におけるAMLの効率化と高度化をめざす取り組みを開始。同年2月から4月まで第1回実証実験を12社と連携し行い、事業者の枠を超えた業界横断での情報連携の有効性と技術的な実現可能性を確認していた。

第2回目となる今回の実証では、各事業者が保有する顧客の個人属性情報を広く共有するのではなく、ウォレットアドレスや取引情報などのリスクシグナルを活用し、各社単独では把握しにくいリスクを補完する仕組みを検証したとのことだ。

同実証では、事業者間で疑わしい取引や高リスクなウォレットに関する情報などのリスクシグナルを共有し、各社の初動対応につなげるかを検証したという。また発行済みステーブルコインなどの流通状況を継続的に監視し、高リスクアドレスとの関係や資金移動の経路を把握することで、疑わしい取引の把握に活用できるかを検証。発行体・取扱事業者における発行後のトークン流通監視の運用可能性を確認したとこと。

さらに同実証では、既知の制裁・犯罪関連リストや外部分析サービスによるブロックチェーン分析に加え、詐欺関連アドレス分析、AI・機械学習による取引行動類似度分析などを組み合わせた多層的なリスク評価を実施。既知の高リスク対象の検知に加え、既知リストだけでは捉えにくいリスクも補完的に把握できることを確認したとのことだ。

実証成果によるAMLモニタリングサービス提供へ

日立は本実証の成果を踏まえ、各事業者が導入可能なデジタルアセット取引向けAMLモニタリングサービスの提供を10月より予定しているという。

このサービスは、各事業者による判断を支援するリスク情報を提供するものであり、最終的な対応の判断は各事業者が行うものとのこと。

具体的に同サービスでは、取引後の継続監視を行う「事後モニタリング」、取引前に相手先ウォレットのリスクを評価する「オンライン即時評価」、発行済みトークンの流通状況を監視する「トークンモニタリング」が提供され、各事業者のリスクベース・アプローチなどの対応を支援するという。また、市場の拡大や規制変更に応じて継続的に機能や分析モデルを高度化することで、変化する金融犯罪リスクへの対応も支援するとのことだ。

さらに日立は将来的に、金融機関や暗号資産事業者、ステーブルコイン関連事業者などが一体となり、デジタルアセット取引に関する業界横断のリスク情報の連携と調査支援などを担う「AML共同センター」の構想について、関係各社と具体化を進めていくとのこと。

日立はこれに参画し、ブロックチェーンデータや各事業者から得られるリスク情報、犯罪手口や規制動向などのドメインナレッジを組み合わせて分析することで、各社単独では把握しにくい金融犯罪リスクの早期発見やリスク評価の高度化を支援するという。また同社は、また、AML共同センターの運用を通じて得られる知見を継続的にサービスへ反映することで、金融犯罪の巧妙化や規制変更への対応力を高めるとともに、各事業者における調査・運用負荷の低減や専門知識を有する人財不足への対応支援や、金融犯罪対策のさらなる高度化を目指すとのことだ。

参考:日立製作所
画像:iStocks/PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部 副編集長 ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。