クラーケン、米国で無期限先物提供開始。暗号資産デリバティブ市場のオンショア化進む

米国で進む無期限先物市場の制度整備

暗号資産(仮想通貨)取引所クラーケン(Kraken)が、米商品先物取引委員会(CFTC)規制下の無期限先物(Perpetual Futures)の提供開始を6月15日に発表した。

クラーケンの発表によると、対象となる米国ユーザーは、同社の取引プラットフォーム「クラーケンプロ(Kraken Pro)」を通じて無期限先物を取引できるようになった。また、現物取引や証拠金取引、CME上場の暗号資産先物とあわせて、単一のインターフェース上で利用できるとのこと。

無期限先物は、暗号資産などの原資産価格に連動するデリバティブ商品だ。通常の先物とは異なり満期日を持たず、ポジションを期限なく保有できることが特徴となっている。クラーケンによると、無期限先物は暗号資産市場で最も取引量の多いデリバティブ商品であり、2025年の年間取引高は60兆ドル(約9,617兆円)を超えたという。

今回提供される無期限先物契約は、クラーケンの親会社ペイワード(Payward)が今年買収したビットノミアル(Bitnomial)に上場されるとのこと。ビットノミアルはCFTC規制下で運営されるデリバティブ取引所だ。なお同商品は、CFTC登録の先物取次業者(FCM)であるニンジャトレーダー・クリアリング(NinjaTrader Clearing)を通じて、クラーケンプロ上で提供される。

提供開始時点では、BTC、ETH、SOL、XRP、ADA、LINK、DOGE、LTC、AVAXなどの暗号資産に対応する。

今回のクラーケンの発表の背景には、米国における暗号資産無期限先物市場の規制整備がある。無期限先物は暗号資産デリバティブ市場の中心的な商品となっている一方、米国では長らく規制上の不透明さから、多くの取引が海外取引所で行われてきた。

こうした中、CFTCは今年5月、暗号資産の無期限契約に関する方針声明を公表した。同時に予測市場運営企業カルシ(Kalshi)が申請したビットコインの無期限契約「BTCPERP」の上場も承認している。またCFTCスタッフは同日、コインベース(Coinbase)傘下のデリビット(Deribit)で取引される一定の暗号資産無期限契約について、外国先物として扱えるとの解釈も示した。

さらにCFTCは今月12日、既存の「無期限先物型」のデジタルコモディティ先物について、満期日を削除し、満期のない無期限契約へ移行することを認めるノーアクションレターも公表した。

クラーケンは5月29日のCFTC発表を受け、30日以内に米国で無期限先物取引を開始する計画を明らかにしていた。

クラーケンプロ責任者のダリウス・タバタバイ(Darius Tabatabai)氏は、「米国のトレーダーは長らく、世界の暗号資産デリバティブ市場を代表する商品を規制下で取引できる国内サービスを待ち望んでいた」と説明している。

なお、暗号資産取引所が提供する無期限先物は、これまでバイナンス(Binance)やバイビット(Bybit)など米国外の取引所を中心に取引されてきた。無期限先物は暗号資産デリバティブ市場の大部分を占める一方、米国では規制上の不透明さから、規制下で提供する事例は限られていた。

例えば、米国ではコインベース(Coinbase)が2025年に、無期限先物に類似した長期満期型の商品を提供していた。同商品は5年の満期日を持つ先物契約で、満期日を持たない一般的な暗号資産の無期限先物とは異なる設計となっている。

一方、今回クラーケンが提供する商品は満期日を持たず、資金調達料(Funding Rate)によって価格を現物市場へ近づける暗号資産市場で一般的な無期限先物の仕組みに基づいている点が特徴だ。

こうした動きから、米国では規制下で暗号資産の無期限先物を提供するための制度整備が進んでいる状況がうかがえる。

参考:クラーケン
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。