DAOガバナンス支援のタリー、事業終了へ。ガバナンス需要の減少を理由に

市場は決済・投機にPMF集中、ガバナンス需要は限定的と説明

ガバナンス支援ツール提供のタリー(Tally)が、事業を終了する方針を3月17日に発表した。同社はあわせて、計画していたトークン発行(ICO)を中止することも明らかにしている。

タリーは、分散型自律組織(DAO)におけるガバナンス運営を支援するツールを提供してきた企業だ。トークン保有者による投票や意思決定を行うためのインターフェースや、投票権の委任(デリゲーション)機能などを提供しDAOの運営基盤として利用されてきた。

同社CEOのデニソン・バートラム(Dennison Bertram)氏は自身のXアカウントでICO中止について説明した。中止の理由として「現在の市場環境では合理性がないと判断した」としたほか、「トークン保有者に対する約束を果たせる確信が持てなかった」と述べている。

また同氏は、DAOガバナンスツールの市場について「ベンチャー投資に見合う事業として成立していない」との認識を示した。

タリーによると、これまでに累計10億ドル(約1,590億円)以上の資金フローが同インフラを通じて処理されたほか、100万人以上のユーザーと数百の組織が同サービスを利用していたという。ユニスワップ(Uniswap)やアービトラム(Arbitrum)などの主要プロトコルでも、ガバナンス運営の基盤として活用されていた。

同社は、イーサリアムにおいて多数のプロトコルやコミュニティが共存する「インフィニットガーデン」と呼ばれる構想を前提に事業を展開してきたが、「そのような環境は現時点では実現していない」と説明している。

またバートラム氏は、暗号資産業界について、決済や投機といった領域ではプロダクト・マーケット・フィット(PMF)が進んでいる一方で、ガバナンス関連の需要は限定的にとどまっているとの認識を示した。

今後、同社のガバナンスアプリケーションは今月末より段階的に提供を終了する予定とされている。主要な企業顧客については移行対応が進められており、一定期間はインターフェースが維持される見込みだ。

参考:タリー
画像:PIXTA

関連ニュース

この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。