予測市場を巡る規制判断が分岐。オランダは違法賭博、米国では州と連邦が対立

オランダ当局が予測市場ポリマーケットにサービス停止命令

オランダの賭博規制当局「カンスペルオートリテイト(Kansspelautoriteit)」が、予測市場プラットフォーム「ポリマーケット(Polymarket)」の運営会社アドベンチャー・ワンQSSに対し、同国でのサービス提供を即時停止するよう命じたと2月17日に発表した。ポリマーケットがオランダで無許可で違法な賭博サービスを提供していると判断したためだ。

カンスペルオートリテイトによると、ポリマーケットが命令に従わない場合、最大84万ユーロ(約1億5,454万円)の制裁金が科されるという。また今後、売上規模に応じた追加の制裁金が科される可能性もあるとのこと。

ポリマーケットは、政治や経済、スポーツなどの実世界の出来事について結果を予測し、参加者同士が資金を投じて取引する「予測市場」を提供している。同社はこれまで、こうした仕組みは賭博ではなく、情報集約を目的とした市場メカニズムだと主張してきた。

しかしカンスペルオートリテイトは、予測市場について「不確実な事象の結果に金銭的価値を賭け、正解すればリターンを得られる仕組みは、賭博に該当する」との見解を示した。選挙結果などへの賭けが社会に与える影響にも言及し、「許可の有無にかかわらず認められない賭けが存在する」と明確に線を引いている。

一方で、予測市場をどの規制枠組みで扱うかは各国で整理が分かれている。米国では、ポリマーケットについて2022年に米国向け提供が制限された経緯がある。その後、同社が米国の規制下での事業再開を模索する動きも報じられており、2025年9月にCFTC(米商品先物取引委員会)が同社に「ノーアクションレター」を出したと伝えている。

ただし、この位置付けを巡っては米国内でも対立が続いている。ネバダ州やマサチューセッツ州など複数の州当局は、こうした商品が州法上の賭博・スポーツ賭博に当たる可能性があるとして、事業者側に是正や停止を求めている。

今年1月には、米マサチューセッツ州の裁判所が、カルシに対して州内居住者向けのスポーツ関連イベント契約の提供を、州のライセンスなしでは禁じる「予備的差止命令」を出す意向を示したとロイターが報じた。カルシは、CFTCの監督を受ける取引所である以上、州による規制は連邦法により排除されると主張し、州当局の執行を争っている。

さらにネバダ州を巡っては、スポーツベッティング分野の弁護士ダニエル・ウォラック(Daniel Wallach)氏がXで、米第9巡回区控訴裁判所がカルシ側の「執行の一時停止(administrative stay)」申立てを退けたと伝えた。ネバダ州の規制当局側資料でも、同控訴裁が一時停止を認めなかった旨が確認できる。

ウォラック氏は、一時停止が認められなかったことで、ネバダ州側が民事の執行手続きや一時的な差し止め命令(TRO)を求める動きを取り得るとの見方を示している。

このように米国では、連邦レベルではデリバティブ取引として整理され得る一方で、州レベルでは賭博として規制される可能性があり、予測市場を巡る法的整理は依然として流動的な状況にある。

オランダの判断とネバダ州の動きをあわせて見ると、予測市場は現在、新しい金融インフラとして制度的に受け入れられた段階には至っておらず、既存の賭博規制と正面から向き合わざるを得ない位置に置かれていることがわかる。

予測市場は近年、政治や経済イベントを背景に取引量を拡大させてきた。一方で、その性質をどの規制枠組みで扱うべきかについては、各国で明確な合意が形成されているとは言い難い。今回のオランダ当局の措置や、米国で続く連邦と州の対立は、予測市場が依然として制度の狭間にあり、法的な整理が進行中であることを改めて示す事例といえそうだ。

参考:規制当局発表
画像:PIXTA

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あたらしい経済 編集部

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