米SEC取引・市場部門、証券性暗号資産のカストディ解釈を明示

ブローカーディーラー向け声明発表

米証券取引委員会(SEC)の取引・市場部門が、証券に該当する暗号資産(crypto asset securities)をブローカーディーラーが顧客のために保管する場合の取扱いについて、職員の見解を示す声明を12月17日に公表した。なお、この声明は規則や正式なガイダンスではなく、法的拘束力を持たない一方、市場参加者からの要請を受け、証券性暗号資産への連邦証券法の適用を明確化するための暫定的な対応として位置づけられている。

今回の声明は、顧客資産保護ルールである「Rule 15c3-3(b)(1)」 のうち、顧客向けに保有する証券について求められる「物理的保有(physical possession)」の考え方を、証券性暗号資産に当てはめたものだ。対象は、証券性暗号資産を顧客のために取り扱うブローカーディーラーで、従来型の証券業務を行う事業者も含まれる。

声明では、ブローカーディーラーが一定の措置を講じる場合、取引・市場部門は、証券性暗号資産についても暗号資産保護ルールが求める「物理的保有」を満たしているとみなすことに異議を示さないとの考えを示した。具体的には、当該資産へ直接アクセスでき、台帳上で移転できる能力を有することを前提に、利用するDLTとネットワークについて、事前および定期的に評価するための書面手続を整備・運用することを挙げた。

一方、DLTやネットワークに重大なセキュリティ上または運用上の問題を認識している場合などには、当該資産を「保有している」とみなすべきではないとし、ここで重視するのは保有に伴う実質的なリスクであり、市場リスクやレピュテーションリスクは対象外とした。あわせて、秘密鍵の盗難・紛失・不正利用を防ぐ管理体制や、障害・51%攻撃・ハードフォーク・エアドロップ等の事象、さらには破綻時を想定した資産保全・移転計画の整備も示している。

SECは引き続き、ブローカーディーラーによる証券性暗号資産の保管を巡る論点の検討を続けており、今回の声明はその過程における暫定的な整理となる。

参考:発表
画像:iStock/ablokhin

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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