SBIの暗号資産事業、30%減収で赤字拡大。グループ全体は上半期最高益

上半期収益30.1%減、税引前赤字は約16億円に

SBIホールディングス(SBI Holdings)が、2027年3月期上半期(2026年4~9月)の連結決算を11月2日に発表した。暗号資産(仮想通貨)事業の収益は前年同期比30.1%減の230億8,300万円、税引前損益は15億9,500万円の赤字となった。一方、SBIグループ全体では増収増益となり、上半期として過去最高の業績を記録した。

SBIの暗号資産事業は、国内で暗号資産交換業を営むSBI VCトレード(SBI VC Trade)や、機関投資家向けに暗号資産取引サービスを提供するB2C2などで構成される。前年同期の同事業の収益は330億2,200万円、税引前損益は1億4,700万円の赤字だった。

SBIは決算説明会資料で、米国の暗号資産市場構造法案「クラリティー法案(CLARITY Act)」の年内成立が厳しい情勢となるなど、暗号資産市場が上半期を通じて不安定に推移したと説明した。同法案は、米国の暗号資産市場における規制当局の役割分担や、暗号資産取引に関する規制の枠組みを定めるものだ。

これに対し、SBIグループ全体の連結収益は前年同期比17.2%増の1兆575億1,500万円、税引前利益は同52.9%増の3,243億600万円となった。また、親会社の所有者に帰属する中間利益は同39.1%増の2,305億7,200万円だった。金融サービス事業と、未上場企業などへの投資を手がけるPE投資事業がいずれも増収増益となった。なお、暗号資産事業の収益が連結収益に占める割合は約2.2%だった。

一方、SBIは国内の暗号資産取引基盤の拡大も進めた。暗号資産交換業者のビットバンク(bitbank)が8月にSBIグループ入りし、決算対象期間終了後の10月1日付で完全子会社となった。また、SBI VCトレードとビットポイント(BITPOINT)のサービス統合も進展しているとのことだ。

SBIの決算説明会資料では、ビットバンクを含むグループの国内暗号資産口座数が約305万口座に達したことが示された。さらに、SBI VCトレード、ビットポイント、ビットバンクの3サービスを合算した暗号資産預り残高は、2026年9月末時点で約1兆1,116億円となった。

SBIは既存の暗号資産取引基盤の拡大に加え、今期の重点施策として「SBI APACデジタル経済圏」の実現に向けたオンチェーン金融インフラの構築を掲げている。具体的には、デジタル資産を取引するオンチェーン対応取引所を国内外で整備するとともに、海外パートナーと連携してトークン化金融商品の開発・流通を進める方針だ。オンチェーン金融とは、金融資産の発行・取引・決済などをブロックチェーン上で行う仕組みを指す。

この戦略の一環として、SBIは円建てステーブルコイン「JPYSC」の国内外での流通拡大を目指している。JPYSCは、SBIグループとスターテイルグループ(Startale Group)が共同開発し、SBI新生信託銀行が発行する信託型ステーブルコインだ。6月24日には、SBI VCトレードの口座内限定で先行提供が始まった。

パブリックチェーン上での流通には税制上の課題が残る。金融庁は2027年度税制改正要望で、信託銀行による受益者の変更に関する調書などの提出を不要とする措置を求めており、SBIも2027年1月1日からの適用を政府に要望している。

また、SBIホールディングスとスターテイルグループは10月27日、ブラックロック(BlackRock)との基本合意書締結を発表した。各社は、短期金融商品を中心に運用するマネー・マーケット・ファンド(MMF)をトークン化した金融商品とJPYSCの連携を検討する。具体的なサービスの提供開始時期は示されていない。

参考:決算書・説明書
画像:PIXTA

関連ニュース

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。