米ステーブルコイン利回り規制で原則合意、クラリティ法審議前進の可能性=報道

ステーブルコイン利回りの扱い巡り原則合意

米国におけるステーブルコインの利回りを巡る暗号資産(仮想通貨)規制について、上院議員とホワイトハウスが暫定的な合意に達した。米政治メディア「ポリティコ(POLITICO)」が3月20日に報じた。

報道によると、この「原則合意(agreement in principle)」は、米上院のトム・ティリス(Thom Tillis)議員とアンジェラ・アルソブルックス(Angela Alsobrooks)議員が、ホワイトハウス当局者とともに調整を進めてきたものだ。これにより今後数週間以内に、暗号資産市場構造法案「クラリティ法(Clarity Act)」の上院審議が前進する可能性があるとされている。

今回の原則合意の背景には、昨年7月に成立したステーブルコイン規制法「ジーニアス法(GENIUS Act)」がある。同法は発行体による保有者への利回り提供を禁止した一方で、取引所など第三者による報酬提供については解釈や制度設計の余地が残っており、取引所や関連会社経由の利回り提供をどこまで禁止対象に含めるかを巡る議論が続いていた。

こうした中、ステーブルコインの利回りを巡って業界間の対立が生じていた。銀行業界は、利回り付きステーブルコインが預金の代替となり、資金流出を招く可能性があるとして強く反発してきた。一方で暗号資産企業は、ユーザー獲得やサービス競争力の観点から利回り提供の重要性を訴えており、両者の対立が法案審議の停滞要因となっていた。

法案審議の停滞を受け、3月に入りドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は、銀行業界がステーブルコイン規制を弱体化させようとしていると批判しており、規制を巡る政治的な圧力も強まっていた。ホワイトハウスはこれまで、両業界の調整を目的とした会合を複数回開催しており、今回の合意はそうした協議の延長線上にあるとみられる。

なお、同合意の具体的な内容は公表されていないが、暗号資産政策を取材するジャーナリストのエレノア・テレット(Eleanor Terrett)氏は、自身のXアカウントで内部関係者向けメールに基づくドラフト条文案の詳細に言及している。

同氏によると、関係者間で共有されたメールでは、ステーブルコイン保有に対する利回りについて「直接的または間接的」な提供を禁止する方向が示されているほか、銀行預金の利息と「経済的または機能的に同等」とみなされる仕組みも規制対象となる可能性があるという。一方、取引などの活動に基づく報酬については、利回りと同等と見なされない場合に限り認められる可能性があるとされている。

もしこの内容が実現した場合、米国のステーブルコインの保有に対する利回り提供は大きく制限される可能性がある。一方で、取引や流動性提供などの活動に基づく報酬については、一定の余地が残される可能性もある。

この合意が銀行業界および暗号資産業界の双方から支持を得られるかは不透明だが、ティリス議員は最終的な合意に向けて業界との調整を継続する意向を示している。

参考:ポリティコ
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者 ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。