今週もSBI VCトレード提供の暗号資産(仮想通貨)に関するウィークリー・マーケットレポートをお届けします。
9/13~9/19週のサマリー
- 最先端AIモデルの開発減速提言に競合トップも相次ぎ賛同し、週初はリスクオフの売りが先行
- CLARITY法案は本会議審議入りの動議が否決され、米国規制の早期明確化への期待が後退
- FOMCでは全会一致で25bpsの利上げ、ウォーシュFRB議長「インフレは高すぎる」
暗号資産市場概況
9/13~9/19週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比+7.08%の12,714,550円、ETH/JPYの週足終値は同+6.21%の412,005円(※終値は9/19の当社現物EOD[9/20 6:59:59]レートMid値)。
先週の暗号資産市場は、週半ばまではAI業界の動向や米規制法案の停滞などを嫌気して下落したものの、週後半は主要な金融・規制イベントの通過に伴う不透明感の払拭から急反発に転じ、週足では大きく上伸するV字回復の展開となった。
週明けの下落のきっかけとなったのは、米Anthropicのダリオ・アモデイCEOが公開した文書において、次世代の「AIフロンティアモデル」の開発スピードを安全性の観点から意図的に減速(ペーシング)させる必要性を提言したことである。これに対し、通常は激しく競合するOpenAIのサム・アルトマンCEOやSpaceX / xAIのイーロン・マスクCEOらも相次いでSNS等で賛同・同調の姿勢を示した。主要AIトップらが揃ってフロンティアモデル開発の自制や規制枠組みを肯定したことで、AIインフラ投資の減速懸念が拡大。ハイテク株や成長資産全般へ利益確定売りが波及し、暗号資産市場でもビットコインが77,000ドル台を中心に上値の重い推移となった。
15日には、米上院でCLARITY法案を本会議で審議するための手続き上の投票が実施された。しかし、討論終結に必要となる60票には届かず、法案を前進させることができなかった。投票は賛成49票、反対50票となり、暗号資産市場では米国における規制環境の明確化が早期に進むとの期待が後退した。もっとも、今回の投票によって法案そのものが完全に廃案となったわけではなく、今後再審議や修正を経て再び手続きが進む可能性は残されている。
CLARITY法案の投票結果を受け、ビットコインは一時7万5,000ドル近辺まで下落するなど、暗号資産市場では規制関連材料に対する反応が強まった。特に今回は、法案成立を期待していた市場参加者のポジション調整が重なったことで、マクロ要因だけでなく暗号資産固有の材料が価格形成に大きく影響する週となった。
その後、9月FOMCでは、FRBが政策金利を25bps引き上げ、3.75〜4.00%のレンジとすることを決定した。今回の利上げは市場で事前に広く予想されていたため、発表直後には株式・暗号資産市場ともに値動きが大きくなったものの、時間の経過とともに買い戻しが優勢となった。FRBによると、今回の決定は12対0の全会一致で、インフレ率が依然として高いことを背景に、2%の物価目標への回帰をより早めることを目的としている。
今回のFOMCでは、単純な25bpsの利上げ以上に、今後の金融政策に対する姿勢が市場の焦点となった。市場では追加利上げの可能性も意識され、18人の政策担当者のうち16人が年内に少なくとももう一度の利上げを見込んでいることが報じられた。一方で、利上げ自体は事前に織り込まれていたため、発表直後に売られたビットコインはその後持ち直し、株式市場でもリスク資産への買いが戻った。
市場の風向きが変わったのは、このFOMCを通過してからである。事前予想通りの結果となったことで市場の警戒感が和らぐと、株式市場では売り込まれていた半導体関連株を中心に買い戻しが進行。暗号資産市場においても、「CLARITY法案の手続き停滞」「FOMCでの利上げ決定」「日銀金融政策決定会合」といった市場が嫌気していた一連の重要イベントを通過したことで、不透明感の解消を背景とした材料出尽くしの巻き戻しの動きが一気に強まった。
特に悪材料の重なりから下値を試す局面で積み上がっていた高レバレッジのショートポジションが一斉に清算され、ショートカバーを巻き込みながら相場は急速に回復。悪材料の通過に伴い、需給の変化が意識される一週間となった。
1) BTC/USD週間チャート(30分足)
2) BTC/JPY週間チャート(30分足)
3)米BTC現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計(週足)、BTC価格
4)米ETH現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計(週足)、ETH価格
5)米XRP現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計(日足)、XRP価格
9/13~9/19週の主な出来事
9/20~9/26週の主な予定
【今週のひとこと】CLARITY法案、討論終結(クローチャー)採決 否決 ── 上院、審議入りならず
米上院は2026年9月15日午後2時15分(米東部時間)、デジタル資産の包括的な市場構造を定める「CLARITY法案(Digital Asset Market Clarity Act)」の本会議審議入りを問う討論終結(クローチャー)動議を採決した。
結果は賛成49・反対50。民主党議員は出席者全員が反対に回り、可決に必要な60票に届かず不成立(否決)となった。 主な争点は倫理条項で、公職者の暗号資産関連事業からの利益相反防止規定の適用範囲が焦点となった。
最終案は大統領本人や配偶者を対象に含めたものの、大統領の子供が関与する事業(World Liberty Financial等)は対象外とされたため、民主党側の強い反発を招いた。
今回の否決は、この倫理条項を巡る政治的対立が直接の引き金になったとみられる。 ただし、本法案は「廃案」となったわけではない。クローチャー否決は法案の内容そのものに対する最終拒否ではなく、あくまで現段階での審議入りの手続きが止まったことを意味しており、再交渉・再提出は制度上可能である。ティリス上院議員による再考動議は提出されたものの、新たな採決日程は示されていない。
一部の議員は、11月の中間選挙後のレームダック(改選前の残り)会期での再挑戦に言及している。 とはいえ、年内成立のハードルは大幅に上がった。11月の中間選挙を控え、上下院とも予算関連法案などで審議日程が極めて逼迫しており、2026年内の再採決・成立は厳しい状況にある。
市場関係者の間でも、今会期での成立は困難との見方が強まっており、2027年の次期議会への持ち越しになるとの見方が支配的だ。 一方で、SEC(米証券取引委員会)やCFTC(米商品先物取引委員会)は法制化を待たず独自の規制枠組み構築を進めている。
9月17日には、SECがトークン化株式のオンチェーン取引に関する5年間のイノベーション適用除外を発行し、CFTCもソフトウェア開発者向けのノーアクション・ポジション(不提訴方針)を表明した。SECの「Regulation Crypto Assets」提案も2026年10月20日まで意見公募中であり、当面はこれら規制当局による個別の行政手続きが実質的なルール形成の主戦場となる可能性が高い。
このレポートについて
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暗号資産は、移転記録の仕組みの破綻によりその価値が失われる可能性があります。
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