ビットコイン価格、米イランの地政学的リスク高まりや原油高騰、米利上げ見通しの不透明感を背景に上下に大きく振れる(仮想通貨市場レポート 9/7 号)

特集 暗号資産 週間マーケットレポート

今週もSBI VCトレード提供の暗号資産(仮想通貨)に関するウィークリー・マーケットレポートをお届けします。

8/30~9/5週のサマリー

  • 中東情勢の緊迫化に伴う原油高とインフレ再燃懸念がリスク資産の重しに
  • FRBウォラー理事、インフレ鈍化が確認されれば9月FOMCでの政策金利据え置きを支持する考えを表明
  • 米雇用統計が市場予想を大きく上回り、9月FOMCでの利上げ観測が再び強まる

暗号資産市場概況

8/309/5週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比▲0.24%12,482,750円、ETH/JPYの週足終値は同▲0.90%388,900円(終値は9/5の当社現物EOD9/6 6:59:59]レートMid値)。

先週の暗号資産市場は、米・イラン間の軍事衝突再燃による地政学的リスクの高まりや原油価格の高騰、米利上げ見通しの不透明感を背景に価格が上下に大きく振れる展開となった。

週初、米国とイランの軍事衝突が再燃したことで地政学的リスクへの警戒から暗号資産市場は上値の重い展開となり、ビットコイン(BTC)は一時7.7万ドル台まで下落した。原油価格の上昇によるインフレ再燃警戒に加え、8/28のジャクソンホール会議におけるウォーシュFRB議長のタカ派的な発言を受けて9月FOMCでのタカ派姿勢への警戒感が強まった。米10年債利回りは8月31日時点で4.75%前後まで上昇し、米国株式市場および暗号資産市場の重しとなった。

週央以降も原油高が続いた。9月2日にはWTI原油先物が一時92ドル台まで上昇し、エネルギー価格を通じたインフレ圧力が意識された。市場で金融引き締め観測が高まる中、米10年債利回りは一時4.82%近辺まで上昇。リスク資産への売りが強まり、BTCは同日に7.6万ドル台まで下落した。

流れが変わったのは9月3日である。FRBのウォラー理事が、今後のインフレ指標で鈍化傾向が確認されれば9月FOMCで政策金利を据え置く姿勢を示したことで利上げ観測が後退。米10年債利回りが一時4.73%台にまで低下したことを受けてリスク資産に買い戻しが入り、BTCも一時8.2万ドル台まで急速に反発した。

しかし、9月4日発表の8月米雇用統計では、非農業部門雇用者数が16.2万人増と市場予想(約5.3万人増)を大幅に上回った。失業率も4.1%と前月から横ばいとなり、労働市場の底堅さが示されたことでタカ派的な金融政策見通しが再び浮上。米10年債利回りが一時4.8%近辺まで再上昇するとBTCは反落し、8万ドルの節目を割り込む展開となった。
注)9/2-9/3にかけてドル円が160円台から155円台と急速に円高方向に動いたことで、8/30~9/5週におけるBTC/USDの週足終値は前週比+2.14%程度となっている。BTC/JPYの週足終値は前週比▲0.24%。

今週以降も、米金融政策を巡る市場の見方がBTCの方向性を左右する展開が想定される。特に9月11日に発表される米CPIに注目が集まり、インフレ動向が9月FOMCに向けた利上げ観測に影響を与える可能性がある。また、中東情勢や原油価格の動向にも引き続き注意が必要だ。原油高が長期化すればインフレ再燃への警戒が強まり、FRBの金融政策にも影響を及ぼす可能性がある。

当面は、米CPI、米10年債利回り、原油価格の動向を確認しながら、金融政策と地政学リスクが暗号資産市場に与える影響を見極める展開となりそうだ。

1) BTC/USD週間チャート(30分足)

ヴィタリック、SNARK・FHE・iOの計算コスト「将来10倍未満になる可能性60%」

2) BTC/JPY週間チャート(30分足)

TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

3)米BTC現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計(週足)、BTC価格

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がBTC価格)SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成

4)米ETH現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計(週足)、ETH価格

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 青線がETH価格)SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成

5)米XRP現物 ETF の資金流入出と運用資産残高合計(日足)、XRP価格

(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がXRP価格)SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成

8/30~9/5週の主な出来事

9/6~9/12週の主な予定

【今週のひとこと】急拡大するRobinhood Chain

米国の金融サービス大手Robinhoodが開発したブロックチェーン「Robinhood Chain」の利用が急速に拡大しています。Robinhood Chainは7月1日にパブリックメインネットを開始したEthereum互換のLayer 2で、Arbitrumの技術基盤を利用し、株式などの現実資産(RWA)をオンチェーンで活用することを主な目的としています。

Robinhoodは同チェーン上で「Stock Tokens」と呼ばれるトークン化された株式関連商品を提供しています。Stock Tokensは24時間取引に対応するほか、DeFi上での担保利用やレンディングなどへの活用も想定されています。メインネット開始後はオンチェーンでの取引やDeFi利用が拡大しており、最近ではトークン化株式を活用した取引も活発になっています。Robinhood Chainが「トークン化株式のためのチェーン」という当初の位置付けを超え、新たなオンチェーン金融市場の基盤として利用され始めている点が注目されます。

特に注目されるのが、トークン化株式とミームコインを組み合わせた取引の拡大です。9月2日には、NVIDIAなどのトークン化株式を取引ペアとして利用するミームコインの取引高が約2.17億ドルに達し、トークン化株式そのものの直接取引高約1.27億ドルを上回ったとの分析が報告されています。株式市場のオンチェーン化を目的として始まったRobinhood Chainが、ミームコインなどを含む新たな暗号資産市場の取引基盤としても利用され始めていることが分かります。

この動きは、RWAにおいて「トークン化すること」だけでなく、「トークン化した資産をどのように利用できるか」が重要になっていることを示しています。トークン化株式がDEXの取引ペアや担保として利用されれば、株式は単なる投資対象ではなく、オンチェーン金融を支える基盤となります。

一方、Stock Tokensは原資産となる株式そのものではなく、Robinhood Assets (Jersey) Limitedが発行するトークン化された債券です。保有者には原資産株式の所有権や議決権などが付与されないため、従来の株式とは異なる点には注意が必要です。

これまでRWAでは「何をトークン化するか」が注目されてきましたが、今後は「トークン化された資産を何に使えるようにするか」が重要になります。トークン化預金などと並び、Robinhood Chainの動きは、金融資産をオンチェーンで相互に利用できる「オンチェーン金融」の広がりを示す事例として注目されます。

このレポートについて

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この記事の著者・インタビューイ

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