ビットコイン下落、その要因をETF・オンチェーン指標・マクロ環境等で分析(仮想通貨市場レポート 2/9号)

特集 暗号資産 週間マーケットレポート

今週もSBI VCトレード提供の暗号資産(仮想通貨)に関するウィークリー・マーケットレポートをお届けします。

2/1~2/7 週のサマリー

  • BTCの実現損失が59億ドル超を記録
  • 米国政府機関の一部閉鎖が終了
  • BTCはATH(2025年10月)より最大約52%下落

暗号資産市場概況

2/1~2/7週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比▲10.01%の10,921,100円、ETH/JPYの週足終値は同▲11.98%の330,080円であった(※終値は2/7の当社現物EOD[2/8 6:59:59]レートMid値)。

先週の暗号資産市場は、先々週に顕在化した地政学リスクや政治情勢を背景とする下落基調をさらに強め、BTCは2024年10月以来の安値である6万1ドルまで下落した。この水準は、米国大統領選挙戦において暗号資産好意の姿勢を示していた共和党のドナルド・トランプ氏が勝利する約1ヵ月前の価格帯に相当する。

BTCは一時、上記した6万ドル割れ手前まで下落したものの、その後は急速な買戻しにより反発し1万ドルほどの回復を見せた。足元ではトランプ氏勝利前の水準で下値を固める動きが確認されており、過去のイベント時の価格帯への意識が強まっている。

アルトコイン市場においても調整色が強く、ETHやSOLといった主要銘柄は概ね25%前後の下落を見せ、全体として下押し圧力が強まった。またBTCと同様に、6日以降の回復では上昇幅を伸ばし、おおむね週間10-15%ほどの下落幅に落ち着いている。

オンチェーン指標を見ると、BTCは6日に約59億ドル規模の実現損失を記録した。これは昨年11月に価格が10万ドルを下回り、8万5,000ドルまで到達した際の水準よりも高い。実際、供給全体のうち短期保有者では約14%、長期保有者でも20%超が損失状態にあり、損失の広がりが確認される。

このような損失の増加は、2022年第1四半期の下落局面と類似した動きを示している。現在、暗号資産の恐怖・強欲指数は「極度の恐怖」水準で低下しており、価格が米大統領選挙戦前の水準まで下落したことで、これまで主に短期保有者に集中していた損失圧力が、長期保有者層へも波及しつつある可能性も考慮されるだろう。

ETF市場において、ブラックロックのIBITは、2月6日(日本時間)の出来高が過去最高を更新し、約100億ドル相当が売買された。ブルームバーグのETFアナリスト、エリック・バルチナス氏によると、IBITは当日▲13%と、上場以来で2番目に大きい1日当たりの下落率を記録した。資金フローを見ると、全体では直近の3日間で約12.5億ドルの純流出が発生し、短期的なリスク回避姿勢が鮮明となった。

一方、ETFの大半は依然として保有されており、パニック的な売却には至っていないことが示唆される。この状態において長期的には含み損の拡大もみられ、短期的な資金流出と中長期保有が拮抗する状態が続いている。今後の価格動向によって需給環境が大きく変化する可能性があると考えられる。

マクロ環境では、リスク資産全体に調整圧力がかかる中、資産クラスごとの差が明確になっている。米国株は大型テクノロジー株が軟調となり、ナスダック総合指数は下落した一方、小型株やバリュー株は相対的に堅調に推移し、投資家の選別姿勢が強まっている。貴金属市場では金と銀がともに下落したが、金は比較的底堅さを保った。

こうした中、BTCとゴールドの乖離が目立っている。BTCは直近のリスクオフ局面で逃避資産として機能せず下落幅を拡大した一方、ゴールドは現物に加え、オンチェーン上のトークン化金(RWA)への資金流入が続いており、暗号資産市場内でも資金の向かう先に変化が生じている。

株式や暗号資産、貴金属を含む主要資産が調整局面にある中、投資家心理は慎重に傾いている。今週は、BTCとゴールドの乖離やETF・オンチェーン上の資金移動といった動きに注目が集まるだろう。

1) BTC/USD週間チャート(30分足)

TradingView提供のチャートにて(SBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)

2) BTC/JPY週間チャート(30分足)

TradingView提供のチャートにて(SBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成)

3)ビットコイン現物ETFの資金流入出と運用資産残高合計、ビットコイン価格

緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がビットコイン価格(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)

4)イーサリアム現物ETFの資金流入出と運用資産残高合計、イーサリアム価格

緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 青線がイーサリアム価格(SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成)

2/1~2/7週の主な出来事

2/8~2/14週の主な予定

【今週のひとこと】 ビットコインの価値の再定義

5日、JPモルガンのアナリストチームはレポートで、ビットコインが短期的な下落局面にあるものの、長期的には26.6万ドルに到達する可能性があるとの見解を示し、複数のメディアがこれを報じました。

昨年10月以降、金がビットコインを大きく上回るパフォーマンスを示す一方で金のボラティリティが急上昇したことにより、ビットコインと金のボラティリティ比率は過去最低の1.5倍程度まで低下しました。これによりボラティリティ調整後の基準では、ビットコインの相対的な魅力度が高まっているとしています。

また同行のアナリストは、もしビットコインが金の完全な代替になり得るとすれば(ビットコインの最大供給量が2,100万BTCであることを考慮すると)、ビットコインの時価総額が中央銀行保有分を除く民間部門の金投資額である約8兆ドルに並ぶには、1BTC=26万6,000ドル相当まで上昇する必要があると試算しています。

現在の価格水準を考えると、にわかには受け入れがたい数字に感じられるかもしれませんが、今回は新たな視点でビットコインの価値について考えてみたいと思います。

ビットコインは現在、「エネルギー通貨」として業界で再評価されています。

仮想通貨投資会社HashedのSimon Kim最高経営責任者は1月28日、X(旧Twitter)で「エネルギーの収益化:AI時代におけるビットコインの役割の再定義」を投稿、長きにわたり「エネルギーの無駄遣い」として批判されてきたビットコインマイニングが実はAI時代のエネルギーインフラにおいて重要な役割を果たす技術であることをデータと事例で論証、中国四川省の水力発電やアイスランドの地熱など、送電網に接続できない余剰電力をビットコインマイニングで収益化してきた歴史を振り返り、「ビットコインは余剰エネルギーを価値に変換するデジタルバッテリーとして機能している」と指摘しました。

また環境面では、ビットコインマイニングの52%以上が再生可能エネルギーで稼働しており、石油・ガス産業から排出されるメタンガスを燃焼させて発電に利用することで、温室効果ガスを60%以上削減できると強調しています。

ビットコインをエネルギーベースの通貨として再評価する動きは業界全体に広がっています。エヌビディアのジェンセン・ファンCEOは1月、「本質的に、ビットコインは余剰エネルギーを通貨という新しい形態に貯蔵し、世界中のどこにでも輸送できるようにしている」と述べています。

さらにテスラCEOのイーロン・マスク氏は2025年11月、「エネルギーこそが真の通貨。政府は法律を通じて通貨を発行できるが、エネルギーを法律で作り出すことはできない」と述べ、ビットコインのプルーフ・オブ・ワーク(PoW)が物理的な希少性をデジタル世界に転換する仕組みだと強調しました。

ビットコインの適正価格を算出するための理論モデルは複数あり、明確かつ唯一無二の正解はありません。しかしビットコインはその特性から単なる投機資産ではなく、デジタルゴールドとしての価値を持ちながらも、全く新しい価値の創出も可能な資産クラスとしてプレゼンスを高めていることは明らかです。

そうしたビットコインの価値の再定義の中でビットコインの投資家は成熟しつつあり、今や政府や年金基金など多くの機関投資家がマーケットに参加しています。そのためマクロ的な材料を注視する必要があり、現に実質金利の動向やドルインデックス、地政学的リスク、金属価格等に反応して価格が動くこともよくあります。ビットコインは各資産クラスと影響し合いながら価格を形成していると言えるでしょう。

相場急変時はついついテクニカル分析に躍起になりがちですが、これは、木を見て森を見ず、になりかねません。こうした時こそ様々な角度からビットコインの価値について再考する機会としていただければ幸いです。

    このレポートについて

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    この記事の著者・インタビューイ

    SBI VCトレード

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