ビットコイン史上最高値更新し7万ドル到達、今週も新高値模索か、円高進行で円建はアンダーパフォーム(暗号資産 市場レポート 3/11号)

特集 暗号資産 週間マーケットレポート

今週もSBI VCトレード提供の暗号資産(仮想通貨)に関するウィークリー・マーケットレポートをお届けします。

3/3~3/9週のサマリー

  • BTCがドル建てでの史上最高値を更新し、70,000ドルに到達
  • ミームコインの上昇が続くなかでSHIBは一時、前週比+100%に達する
  • BlackRock、Fidelityのビットコイン現物ETFが設定来最大の資金流入を記録
  • 日本銀行の政策修正観測による円高進行で円建て暗号資産価格がアンダーパフォーム

暗号資産市場概況

3/3~3/9週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比+8.37%の10,086,000円、ETH/JPYの週足終値は同+12.39%の575,830円であった(※終値は3/9の当社現物EOD[3/10 6:59:59]レートMid値)。

前週末のビットコイン現物ETFが7営業日ぶりの純流出となったことが影響し、落ち着いた値動きで始まったBTCは、SHIBやDOGEといったミームコインの大幅上昇に連れる格好で上昇を開始。4日のビットコイン現物ETF取引高が2月28日以来2番目の高水準となったことが判明するとドル建てでの史上最高値を試す展開となった。同日には、BTCの最大保有企業である米MicroStrategyが6億ドルの転換社債発行によるBTC追加購入計画を発表し、市場全体の機運が高まったことで若干の調整を経由した後、6日未明にBTCは69,000ドルを突破してドル建てでの史上最高値を更新した。

高値更新後は、イーロン・マスク氏率いる米SpaceXによるBTC売却報道のあった昨年8月17日以来最大のロングポジション清算/日を伴って59,000ドルまで約10,000ドル程度の急激な調整を記録した。大幅な調整ではあったが、デリバティブ市場全体のポジション量が減少して軽い値動きとなったBTCは週後半に再度高値更新を試し、9日未明に70,000ドルの大台を突破することとなった。

ドル建てBTC価格が史上最高値を更新する一方で、国内では7日に植田日銀総裁、中川同審議委員が相次いで2%の物価安定目標達成の確度が高まっている趣旨の発言。18~19日に開催される金融政策決定会合にて政策修正に踏み切るとの報道も見られるなか、円高進行により円建てBTC価格はアンダーパフォームし、6日の史上最高値を更新できずに推移した。

先週は5日にiShares Bitcoin Trust (IBIT) 、7日にFidelity Wise Origin Bitcoin Fund (FBTC)がそれぞれ設定来最大の資金流入を記録するなど、マイニング報酬によるビットコイン供給(約900BTC/日)を大幅に上回るビットコイン現物ETFに対する需要が相場を引き続きサポートする格好であった。

同様の背景でビットコインは今週も新高値を模索していく展開が想定されるが、前週末の米国株式がエヌビディアをはじめとした半導体関連株の総崩れにより軟調に推移するなど年初から続く株高に陰りが見え始めていることには留意しておきたい。また、ビットコイン半減期前最大のイベントとして13日にイーサリアム大型アップグレード「デンクン」が予定されており、前後でのETHやトランザクションフィーの大幅削減が期待されるレイヤー2トークンの価格変動には十分に備えておきたい。

BTC/USD週間チャート(30分足)

TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

BTC/JPY週間チャート(30分足)

TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

ビットコイン現物 ETF のネットフローと運用資産残高合計

(緑・赤のバーがネットフロー / 白線が運用資産残高合計)SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成

BTC先物ロングポジション清算推移(ドル/日)

(黒 BTC価格 / 橙 BTC先物ロングポジション清算額)glassnode 提供のチャートにて SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成

3/3~3/9週の主な出来事

3/10~3/16週の主な予定

【今週のひとこと】イーサリアム大型アップグレード「デンクン」

「デンクン」とは、昨年4月に実装された「シャペラ」以来の大型アップグレードであり、イーサリアムのスケーラビリティと効率性を向上させるための重要な実装です。

メインレイヤー(実行レイヤー)のアップグレードである「カンクン」とコンセンサスレイヤー(合意形成レイヤー)のアップグレードである「デネブ」を組み合わせ「デンクン」と呼ばれています。

「デンクン」には複数の改善が含まれていますが、特に注目されているものに「プロトダンクシャーディング」の実装があります。「プロトダンクシャーディング」では、レイヤー2からレイヤー1への書き込みに使用する専用のトランザクション(BLOB)が導入され、市場ではレイヤー2のトランザクションフィー大幅削減が期待されています。同アップグレードではその他、ストレージコストの削減やネットワークの全体効率改善なども実装も予定されています。

「デンクン」の実装によってトランザクションフィー削減やスケーラビリティ向上など、ユーザー利便性の更なる向上が期待されるイーサリアムの今後の動向には注目が必要です。

このレポートについて

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この記事の著者・インタビューイ

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