大幅下落後のビットコイン、経済指標の発表に注視が必要(暗号資産 週間マーケットレポート 8/28号)

特集 暗号資産 週間マーケットレポート

8/20~8/26週のサマリー

  • パウエルFRB議長は「さらに金利を引き上げる用意がある」とジャクソンホール会議にて発言
  • 米司法省はミキシングサービスのTornado Cash開発者2名をマネーロンダリングと制裁措置違反で起訴
  • 大手ECサービスShopifyが「Solana Pay」によるUSDC決済の導入を発表

暗号資産市場概況

8/20~8/26週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比+0.46%の3,816,100円、ETH/JPYの週足終値は同▲0.60%の241,615円であった(※終値は8/26の当社現物EOD[8/27 6:59:59]レートMid値)。

先々週大幅に下落したビットコインは週前半さらに一段の安値を探る動きを見せたが、週後半の24日には米8月製造業PMIの内容が市場予想を下回ったことにより利上げ観測が後退。ビットコイン価格は若干上昇も、最終的には方向感を失い26,000ドル近辺に着地した。

先週はジャクソンホール会議が開催され、パウエルFRB議長の発言に市場の注目が集まった。会議中の講演で同氏は「インフレ率はピークから下がっているが、なおも高い」「さらに金利を引き上げる用意がある」と発言。この内容は直近のFOMC他メンバーらによるタカ派発言と整合的であり、発言直後を除き市場におけるサプライズは小さかったように見受けられる。一方で、インフレのピーク時からの低下を認め、景気に配慮する姿勢から、データ注視の方針は継続となるだろう。

今週は消費者信頼感指数、雇用統計、ISM製造業景況指数をはじめとした重要な経済指標が連日発表される。暗号資産も他のリスク資産と同様、経済指標に左右される可能性は高く、注視が必要だ。

経済指標以外での今週の注目点として、BlackRockやVanEckなど6社が申請中のビットコイン現物ETFの上場申請の審査期限が挙げられる。8月中旬に先んじて審査期限を迎えたARK Investment Managementによる同申請は判断を延期されており、今回も同様に延期されるとの見方が優勢である。過去の事例から考えると審査は最大240日まで延期されるため、前述の場合は来年の3月まで結論が出ない可能性もある。

他地域に目を向けると、Jacobi Asset Managementが8月中旬にヨーロッパ初のビットコイン現物ETFをユーロネクスト・アムステルダムに上場。ビットコイン価格への影響はなかったものの、今後資金流入が始まると価格にも影響を及ぼす可能性がある。アメリカにおける申請可否の結論は半年以上先になる可能性が高いものの、ビットコインの半減期が徐々に意識される状況において大きなトピックであるため、関連情報の収集は継続する必要がある。

BTC/USD週間チャート(30分足)

TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

BTC/JPY週間チャート(30分足)

TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成

8/20~8/26週の主な出来事

8/27~9/2週の主な予定

今週のひとこと「ジャクソンホール会議」

「グローバル経済の構造変化」をテーマに、8月24日から26日の3日間、ジャクソンホール会議が開かれました。

ジャクソンホール会議(Jackson Hole Conference)とは、カンザスシティ連銀が米国ワイオミング州ジャクソンホールで毎年8月下旬に開催する経済政策シンポジウムです。このシンポジウムでは、主要国の中央銀行総裁や高官、経済学者らが集い、学術的な議論が交わされるため、「中央銀行のダボス会議」とも呼ばれています。

例年特に注目を集めるのが、FRB議長による基調講演です。議長の発言内容は、金融市場や経済政策に対する方針のヒントとして解釈されるため、多くの市場参加者が講演の内容をチェックしています。

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この記事の著者・インタビューイ

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