【2021年版】ブロックチェーン・暗号資産(仮想通貨)業界を牽引する35人の「2021年の展望」

特集 暗号資産/ブロックチェーン業界の展望

admin_shidara

ブロックチェーン・暗号資産(仮想通貨)業界の展望 2021

新型コロナウイルスという人類にとって未知の脅威は、世界のデジタル変革を余儀なくするでしょう。そしてブロックチェーンはそこに確実に必要になる技術だと信じています。

また昨年末から2021年にかけ、ビットコインをはじめとする暗号資産(仮想通貨)は、史上最高値を更新し、どんどんと経済にインパクトを与えようと成長しています。

これからブロックチェーンと暗号資産は、より私たちが「あたらしい世界」を迎えるにあたって重要なテクノロジーになるでしょう。

今回は年始の特別企画として、ブロックチェーン・暗号資産業界を牽引する皆様に「2021年の展望」を寄稿いただきました。

これからも「あたらしい経済」は日本のブロックチェーン・暗号資産業界を、業界内の皆様と一緒に盛り上げていけるようにメディア運営をしていきたいと思っております。一緒にあたらしい経済を切り拓いていきましょう。

あたらしい経済 編集部一同

(以下掲載は氏名50音順)

Gaudiy CEO 石川裕也

2021年は、Gaudiyのミッションである「ファンと共に時代を進める。」の通り、引き続き、エンタメという切り口から少しでもブロックチェーン業界を盛り上げ、最先端技術や新しい価値観の社会実装に貢献できればと思っています。

また現在海外ユーザーも多いので、今年はグローバル展開にも挑戦できればと思います。 昨年は、集英社やSony Music、アニプレックスなどと共同でマスユーザーの方々にブロックチェーン技術を活用したアプリを展開したり、3億の資金調達、DIDウォレット、論文発表、事業の急成長におけるオフィス移転など激動な一年でした。

ただ、その裏で色々な失敗や学びも多くあったのでそれら反省から、今年は、一層成長できればと思っています。

株式会社Gaudiy

double.jump.tokyo 代表取締役/CEO 上野広伸

NFT関連では、2021年は昨年までの課題を解決し、ブロックチェーンのユースケースの普及に向けた動きが進みます。

1.新プラットフォームの本格始動 2020年のDeFiブームによって露呈した既存プラットフォームの限界を解決する動きが出てくると思います。 ネットワーク処理能力問題に対してゲームに特化したブロックチェーンなどの独自チェーンの登場と、ネットワーク手数料高騰問題に対してセキュリティの担保としてのオンチェーンの利用/オフチェーン取引の活用によるガスレス化、 UX/UI問題に対して、Facebook、LINE、KakaoなどのSNSと連動したブロックチェーンの本格始動が起こると思います。

2.金融との融合 グローバル(特定の国の規制に縛られない分散型の世界)では暗号資産を活用しDeFi(分散型金融)と融合した新たなユースケースが出てくると思います。

3.ブロックチェーンを用いたデジタルグッズ販売と2次流通市場の拡大 暗号資産を用いたビジネスモデルの場合、法務、会計処理、税務面の縛りがあるため、国内ではIPを活用したデジタルグッズの販売と、2次流通ビジネスモデルの開発が進むと思います。

double.jump.tokyo株式会社

コインチェック 専門役員 大塚雄介

バズワード化していたブロックチェーンも、2020年からはその傾向が薄まり、ブロックチェーンの特性を活かしたビジネスをしようという機運が高まってきている。私たちの最も身近な財産的価値である通貨の機能を「価値交換のプロトコル」であるブロックチェーンで表現した暗号資産の業界では2021年、DiemのローンチやPayPalの暗号資産決済の導入が予定されている。

さらに、コインチェックでもNFTマーケットプレイスなど、ブロックチェーンの特性を生かした新サービスの開始を予定している。これらのプロダクトが広く普及していくことで、2021年はブロックチェーンが意識されることなく、社会に浸透していく年になるのではないかと考えている。

コインチェック株式会社

ビットポイント 代表取締役社長 小田玄紀

これまで「仮想通貨元年」とされる年は何度かありました。

ナカモト・サトシがインターネットでビットコインに関する論文を発表した2008年、ピザ2枚を1万BTCで交換された2010年、世界ではじめて仮想通貨に関する法律となる資金決済法が施行された2017年、日本が世界のビットコイン出来高の50%以上の取引があった2018年。

その意味では2021年は「何度目かの仮想通貨元年」になるのかもしれません。 ただ、この2021年の始まりがこれまでとは大きく異なるのは、機関投資家・政府セクター・決済会社などこれまで仮想通貨とは距離を置いてきたセクターが参入してきたことです。投資対象としてビットコインが認められてきたこと、これは極めて大きな意味を持ちます。

この数年間で様々なルールも整備されました。事業者の経営管理態勢も強化されました。市場が再び熱を帯びてきた際の受け皿としては十分過ぎるほどに完備されつつあります。

誰が火を付けるのか、そして、誰がその火をさらに灯して炎にしていくのか。この点が注目を浴びる1年になってくると思います。

昨年まで何回か「仮想通貨市場はもう終わったの?」と聞かれた際に「仮想通貨の市場は”まだ、はじまってもいない”」と答えてきました。これからは、こう答えます「”ようやく、はじまった”」

ビットポイント株式会社

Web3 Foundation 大日方祐介

2020年にキラーアプリとなったDeFiですが、世界のトップ開発者やクリプトファンドと話していても間違いなく引き続きクリプトイノベーションの中心です。

2021年はイーサリアム周辺の進化はもちろん、イーサリアムに次ぐ数のDeFiプロジェクト開発が進むポルカドットおよびクサマで「パラチェーン」の実装が始まり、DeFiの実用性が飛躍的に高まる年になると思われ、楽しみにしています。また、パラチェーン実装がなされると独自トークンを持つパブリックチェーンが高いセキュリティで自由に構築可能となり、2017年のICOブームとはまた違った形で開発者たちの可能性が広がる年になりそうです。

マクロな視点だと、今年に入ってすぐの米国議会占拠、(良きにしろ悪しきにしろ)民間企業による一大統領の言論統制、Whatsappのプライバシーポリシー転換といった出来事は、行き過ぎた監視資本主義(Surveillance Capitalism)の弊害と自由意志・プライバシーは自分で守るという気づきを与え、いよいよ世界の人々の意識が「Web 3」の潮流と繋がるきっかけになると考えています。

Web3 Foundation

日本ブロックチェーン協会代表理事兼bitFlyer Blockchain代表取締役 加納裕三

国内ではデジタル庁の発足を9月に控え、官民一体となったデジタル社会推進に向けた取り組みが活発になります。技術基盤としてのブロックチェーンが次の数年でデジタル社会にパラダイムシフトを起こすイノベーションであることは間違いありません。

日本ブロックチェーン協会では「ブロックチェーンを国家戦略に。」というスローガンを掲げ、ブロックチェーン技術の活用を引き続き国へ呼びかけてまいります。

世界では中国をはじめとする各国がブロックチェーンを国家戦略にする動きがあり、日本も他国に負けないように2021年は非常に重要な1年になると思います。bitFlyer Blockchainとしても純国産ブロックチェーン「miyabi」を利用したプロダクトを提供していきます。

日本ブロックチェーン協会
株式会社bitFlyer Blockchain

bitFlyerマーケットアナリスト兼トレジャリー部部長 金光碧

2021年、引き続きデジタルゴールドとしてのビットコイン、dAppsプラットフォームとしてのイーサリアム等に注目が集まると思います。 米国では既に機関投資家がエクスポージャーを取りやすいカストディ、デリバティブ、暗号資産ファンドなどが整備されつつあり、この流れが世界的に広まるのではないでしょうか。

DeFiは様々なプロダクトが生まれ、規制当局との対話が進んでいくことも期待しています。 暗号資産への注目が集まりより多くの人が参入すれば、価格は上がる可能性がある一方で、「ファンダメンタルがない」と考えている投資家も多く参加していることから引き続きボラティリティは高い展開になりそうです。

株式会社bitFlyer

Fintertech Cheif Marketing Officer デジタルアセット担保ローン営業責任者 川浪創

米国10年債利回りは、1/8に上昇したものの依然1.15%と低く、世界の金利は前代未聞の低水準を継続しています。SP500PER(株価収益率)は38程度と歴史的にも非常に割高な状態で、ここから大きく上昇することは考えにくいと思います。

一方で2020年には、ビットコインは機関投資家のインフレヘッジ手段として注目を集めました。今年も機関投資家の新規参入は続くと予想されます。

ただ、ポジションを減少させる投資家もおり、買い越しペースは鈍化すると考えています。イーサリアムはETH2.0に向けて様々なイベントがあり、多くの話題を提供することが予想されます。

イーサリアムのマスアダプションが起こり、ビットコイン比でのアウトパフォームを期待しています。DeFiは拡大を続けると考えますが、2021年後半にはAML等の規制を求める声が大きくなると予想しています。

Fintertech株式会社

LCNEM 代表取締役CEO&CTO 木村優

2021年は、日本ではCOVID19感染症が昨年よりも拡大していて金余りが加速する年になると思いますが、暗号資産の価格の動向だけではなく、技術的な動向も非常に面白い一年になると思います。

Ethereum2.0や、Symbolといったブロックチェーンの大型アップデートのほかにも、CosmosやPolkadotなどインターオペラビリティのプロトコルの実用化が進む年です。昨年は少し開発が遅れていました。弊社でも粛々とこれら新しい技術を活用した開発を進めています。これらの技術に目が離せない一年だと思います。

株式会社LCNEM

xID Co-Founder/代表取締役CEO 日下光

昨年はデジタル庁の動きに合わせるように、初めて内閣官房と民間の間で「ブロックチェーン官民推進会合」が立ち上がったり、政府のインターネット上での信頼あるデータ流通の議論でもブロックチェーンが議論のテーブルに上がったりと、トラストサービスに近い分野でブロックチェーンの話が出てくるようになりました。

「データ連携におけるデータの信頼性確保」のような観点でも今年はブロックチェーン活用がより進むかもしれません。個人的には、いわゆるトラストサービスの一つとして、認定タイムスタンプやeシールのような取り組みがブロックチェーンで実現できれば面白いと思っています。これは技術の問題だけでなく制度や法律の問題なので、デジタル庁に期待したいと思います。

xID株式会社

gumi取締役会長 国光宏尚

今回の盛り上がりは、前回のバブル期との大きな違いが5つあり、これから、大きな波が起こると思います。

1, ビットコインがデジタルゴールドとして既存金融機関にも認められてきた
2, コロナで世界中の国が空前の金融緩和によってFiatが大幅にダイリューションした
3, PayPalやSquare、ロビンフッドなど顧客数が圧倒的に多いFintech企業がビットコインやイーサリアムを取り扱うようになった
4, イーサリアム上でDeFiやDappsというリアルなユースケースが生まれた
5, 各国の中央銀行や大手金融機関などでブロックチェーンの採用が本格化してきた

2021年は各国の規制により一件停滞にみえる出来事も増えますが、それらによって仮想通貨がよりメジャーになっていく後押しになる。かなりエキサイティングな年になると思います!

株式会社gumi

Nayuta Representative Director兼CEO 栗元憲一

2021年は、暗号資産に関しては、コモディティ資産としてのBitcoin, Etherのアダプションが進むと予想しています。既存の金融システムの中の一つの資産として売買される形です。

Trustlessに価値交換する本質的部分については規制の不明瞭さもあり、様々なトライが続きます。

エンタープライズブロックチェーンに関しては、大きな金額が載らない領域から実用例が少しづつ増えてくると予想しています。またデータベースとの利点・欠点の比較もシビアに行われてくると思います。

Nayuta

→次ページにつづく

インフォバーン CVO小林弘人

昨年はコロナ禍の状況下にも関わらず、海外のWeb3関連スタートアップが順調に出資を集めていました。この分野はDeFiだけではなく、HRテックやコンプライアンス管理ツールなども含まれます。また、分散型技術の社会実装に追い風が吹いています。

昨年3月にEUが発表した新サーキュラー・エコノミー(循環型経済)行動計画は、2030年までに、EU域内のほぼ全業種に持続可能な産業への転換を求めています。

そこでは、エシカル・サプライチェーンにおける希少金属や紛争鉱物の追跡と記録や、自然エネルギーの自動売買での活用が見込まれます。加えて、ID発行・運用や投票などの仕組みを管理するガヴテック/シビテック領域も注目しています。

株式会社インフォバーン 

クリプタクト 代表取締役 斎藤岳

仮想通貨の本質的価値の議論にユースケースは重要だが、ビットコインに関してはまるで金のように、様々な背景から明確なユースケースとは切り離して1つの資産として受け入れられつつある。

逆にアルトコインはユースケースを示すことでビットコインとは異なる価値を提示し受け入れられる可能性があるのが2021年だろう。

今年注目しているのは以下2点。

・ビットコインが、年金・保険などの伝統的機関投資家から、オルタナティブ資産として受け入れられるかどうか。従来のビットコイン投資家とは財布の大きさがはるかに異なる彼らが、資産として組み入れるか否かは重要。

・既存の金融から脱却した様々な取引形態や創造性のあるプロダクト、例えば2020年に拡大したDeFiなど、アルトコインを中心にこれらがさらに発展し、どう既存の金融システムに受け入れられるか。

株式会社クリプタクト

慶應義塾大学経済学部教授  坂井豊貴

昨年ビットコインは「価値の保存」(store of value)をするデジタルゴールドとして、その地位を相当確立しました。今年はその地位がより広く世間に認められると予想しています。

いま時価総額はリアルゴールドが1,200兆円ほどで、デジタルゴールドは65兆円ほどです。伸びしろはどれほどでしょうか。 「価値の保存」として重要なのは腐らないことと、ブランドとして広い認知を得ることです。ビットコインは腐りようがなく、また誰もが知るスーパーブランドとしてその名が通っています。

私は買い煽るつもりは全くないし、価格の話ばかりするのは下品かもしれないとは思います。でも、もっと世間の多くの人が、この話を分かってくれてもよいのにと思っています。

坂井豊貴

スタートバーン 代表取締役/現代美術家 施井泰平

2020年はDeFiの可能性が花開いた反面、ガス代の高騰というマイナス面、まさにコインの表裏を体験するような年でした。時にはパブリックチェーンを使うことの是非にも向き合いましたが、2021年は改めてパブリックチェーンの可能性を追求する年にしたいと気持ちを新たにしております。

一方、ブロックチェーン普及のための「リテラシーの壁」を超えるべく、今年は方方で有名コンテンツホルダーとの提携が加速することが予想されます。次に繋がるよう弊社としてもあの手この手で工夫をこらしながら、今年が「ブロックチェーンのリテラシーが高まった元年」になるよう尽力していく所存です。どうぞよろしくお願いいたします。

スタートバーン株式会社

コンセンサス・ベイス 代表取締役 志茂 博

【注目の動き】アメリカで銀行業とステーブルコインを使ったビジネスが動き始める。 
【エンタープライズ】日本でも2020年から実運用が始まり、企業間プロジェクトでの本番稼働が今年も増える。 
【DeFi】DeFiは、今年も新しいアイディアが多く試され激動の状況変化をする。
【NFT】新しいNFT発行や発行支援企業が出てくる。全体流通も増える。
【STO】活用の模索が行わるが、大規模実用化には時間がかかりそう。
【少し進展】 L2スケーラビリティ、クロスチェーン。
【実用化までまだ時間がかかりそう】 CBDC、DID/SSI、Lightning Network。

コンセンサス・ベイス株式会社

chaintope 代表取締役社長 正田英樹

昨年はコロナ禍で苦しい中でもブロックチェーン企業各社は研究開発を重ね実装可能なレベルに技術基盤を高めて来ました。本年はブロックチェーンの実証、そして実装が加速して行きます。

特に政府も力を入れている「グリーンとデジタル」の領域で新たに活用が進んで行くと思われます。chaintopeもCO2削減の見える化と共に環境価値として証書化、また行政のデジタル化において、住民票などの行政証書の電子発行の認証局としてブロックチェーン活用をして参ります。

また世界的話題になっております大手プラットフォーマーの個人情報囲い込みに対してブロックチェーンが個人のデータ管理権限に新たな流れを作る可能性が高まって来ます。

株式会社chaintope

Payward Asia 代表取締役社長 千野剛司

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、医療機関をはじめ、仕事で日夜奮闘されている方々に敬意と感謝の意を表します。人々は今、テクノロジーによってコロナ禍を乗り越えようとしています。

従来「目に見えるモノ」にしか信頼を置けなかった分野でも「デジタル」が急速に広まっています。最近のビットコインの高騰もデジタル化の流れと無縁ではないでしょう。

2021年は、人々が目に見えない仮想通貨に更なる価値を見出す年になりそうです。

ただ、仮想通貨の目新しさと値上がりにだけ関心が集まった2017年のバブルから環境は変わり、今後は、仮想通貨の本質的価値を理解し、目利き能力に長けた取引所の役割がより一層重要になるのではないでしょうか。

Payward Asia株式会社

ディーカレット 代表取締役社長 時田一広

昨年末から暗号資産市場は大きく盛り上がっていますが、機関投資家が投資を続けるためには米国ペイパル社の暗号資産決済参入のような実需で使える機会を増やすユーティリティ性の拡大が重要と考えられ、暗号資産のユーティリティ性の拡大と法定通貨建てのトークンや金融資産のトークン化による需要の拡大も市場の動きに大きく影響するでしょう。

当社では、昨年よりデジタル通貨の実現に向け、各業界を代表する企業約40社と共にデジタル通貨フォーラムを設立し、各業界の民間発行デジタル通貨のユースケースを実証する準備に入っています。

2021年はブロックチェーン技術で実現するトークンというイノベーションが世間に認知される年になると思います。

株式会社ディーカレット

アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー 長瀨 威志

2020年に引き続き「規制」が鍵となるが、海外の規制動向がより重要な一年になる。海外もAML/CFTを中心に厳格化は避けられないが、米国を中心に機関投資家が参入しやすい規制枠組みを目指しているように思われる。

一方で日本は信託銀行等による暗号資産カストディを禁止するなど、国際的な動向からするとむしろ規制後進国に後退しており、税制を含め規制の見直しに向けた議論が必要。

他方、金融規制に抵触しづらいNFT関係は大きく成長する可能性がある。ICO/IEOも会計ルールが整備されれば年内に実施案件が出てくるだろう。

デジタル証券(STO)は私法上の整理や流通市場の整備など課題もあるが、着実に案件が積み重なっていくと思われる。

アンダーソン・毛利・友常法律事務所

ToyCash 代表取締役 日置玲於奈

2020年は、イーサリアムがスケーリング技術・アプリケーション・ビジネス・証券規制におけるポジション、どれにおいても識者の予想を遥かに上回る進展をすることになった。また、Bitcoinも価格や価値の点で世界的に認められた。2021年はトレンドの継続になるだろうと考えられる。

しかしながら、コロナ禍や政治情勢の下、自由主義的な価値が大きく毀損されていく中、イーサリアムのアプリケーションレイヤーがどれほど自由な空間であり続けられるか注意を払うべきだと考える。

故に2021年の新しいトレンドとしてDIDや暗号学的KYCに注目しており、技術的にはTEE/TPM、ゼロ知識証明、FIDO2を追っている。

株式会社ToyCash

ビットコイナー反省会主宰 東晃慈

ビットコインに関しては機関投資家の本格的な参入が去年から始まり、今年も継続する。これはもはや明らかだが、今年の年始からいよいよ一般投資家も遅れて入ってきて、17年のような大きな相場が来ると見ている。

同時に主役は機関投資家になってきているのは規制強化などの文脈にもつながり、水面下で業界の分裂や意見の食い違いが始まるのも予想出来る。 市場的にはビットコイン中心の相場になると思うが、それ以外ではあまり注目されていないが大きな影響力を持つ可能性があるのはDiem(旧Libra)だと思っている。

1年半ほど前に構想が発表された時に騒いでいた人たちはなぜか逆に静かになってしまった気がするが、Diemのユーザー規模や政治力なども考えると、本当にローンチした時のビットコインやイーサリアムなどへの影響は小さくはないと思う。

特にDiemが外部開発者に比較的オープンなプラットフォームとしてローンチした場合、ビットコインの送金ユースケースやイーサリアムのNFTやゲームの利用などは一部こちらに吸い取られるし、規制の動きもDiemやCBDC次第の部分もあるので、実は自分は案外Diemに注目している。

市場が盛り上がる以外では、規制がどんどん強化されるだけで新しい意外な展開は特にない、退屈な年になるかもしれない。

ビットコイナー反省会

HashHub CEO 平野淳也

2021年は引き続きDeFiの年になりますが、DeFiの成熟度も次のレベルへと向かうはずです。 現在、DeFIはインフラストラクチャーは凄まじい早さで成熟していますが、そこでやり取りされている資金の多くは投機マネーです。

しかし投機マネーでインフラストラクチャーが成熟しているのです。 ネクストステップはその成熟したインフラストラクチャーに一般的な企業や金融機関が注目するフェーズです。

DeFiと従来金融が少しずつ交わり始めます。 同時にエンタープライズがパブリックブロックチェーンに関心を向けることになるでしょう。パブリックブロックチェーンは人類の新しい公共であり前提になるはずで、そういった未来へさらに一歩進むはずです。

HashHub

→次ページのつづく

ビットバンク 代表取締役CEO 廣末紀之

総じて良好な環境と考える。相場は、コロナの影響により、中央銀行の低金利政策、政府による財政政策の継続が想定され、運用難を背景に機関投資家の腰の入った資金が流入する動きとなろう。

資金はSECによるripple社提訴を契機とし、BTC/ETHへ集中する可能性が高く、BTCは過去2回の半減期経験則から、10万ドルを一つのターゲットに、今年度いっぱいは強気ムードが続く可能性が高いと考える。

また、産業面ではPaypal社の参入をきっかけとしてfintech業界などからの参入が想定されること、CBDC、DeFiの更なる進展など、暗号資産業界の多様性が拡大し、産業の裾野が広がる動きが出てくるであろう。

ビットバンク株式会社

Cryptoeconomics Lab CTO 部谷修平

2020年はDeFiもL2も盛り上がった年でした。昨年新しくEthereumに興味を持った方も多いのではないでしょうか。この流れは2021年も引き続きパブリックチェーン全体で継続するでしょう。

そして利用者も投資家も増え、新たにパブリックチェーンに課題を感じた部分もあるのではないでしょうか。我々としてはDeFiプラットフォームとしてのzkRollupに注目しており、引き続きL2を軸に開発を進め、ブロックチェーン業界に貢献していきます。

また発展しつつも混沌とし始めたDappsとL2の世界で、丁寧にユーザの課題に向き合い、解決していければ嬉しいです。

最後にCryptoeconomicsLabの2020年の振り返り記事を書きました。よろしければこちらもご覧ください。

Cryptoeconomics Lab

LayerX 代表取締役CEO 福島良典

2020年は国内においても、ファイナンス分野、B2B取引の分野、さらにガバメント・スマートシティの分野など、様々な領域でブロックチェーンの実運用・商用化が相次ぎました。2021年もこの傾向が加速するでしょう。

LayerXでは社会実装の上で重要になる秘匿化技術であったり、B2B取引、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の領域でR&Dを強化しており、引き続き世の中に役立つアプリケーション作りに注力していきます。

株式会社LayerX

日本マイクロソフト エンタープライズ事業本部 業務執行役員 金融イノベーション本部長 藤井達人

注目すべきは暗号資産を含むデジタルアセットエコノミーの躍進だ。暗号資産はBTC・ETHを中心に引き続き機関投資家の注目を集め、現物・投信・デリバの各市場が賑わうだろう。

代替資産を裏付けとするSTOも海外ではエコシステムの発展が急速に進む。特に上位の国際金融都市ではエコシステムに絡むプレーヤー誘致とデジタルアセット取扱残高の積上げを積極的に図り、BCベースの決済システムと接続し効率的な市場の形成を競うようになる。

さらには、分散型金融のプロトコルがバックポートされ、キャピタルマーケットのさらなる進化を促す兆しが見られるかもしれない。

また、大手金融機関がステーブルコインを金融決済の現実解として採用し始めると予想。

日本マイクロソフト株式会社

グラコネ代表 ミスビットコイン 藤本真衣

ビットコインは世界史の一部です。1企業、1国の話はなく、全世界規模・人類規模の話なのです。Satoshiが込めた意図を改めて思い出す時です。

Satoshiがあのタイミングで問題提起をした事はまるで未来を既に知っていたかのような正確な指摘でした。2020年の新型コロナの影響による量的金融緩和により米上場企業や機関投資家ビットコインを新しい純金として目をつけ始めましたが、これは始まりに過ぎません。

例えば中国では、アントグループIPO中止の衝撃から加速する人民元からビットコインへのキャピタルフライトが起こり、まさに世界史の中心にビットコインがあります。

株式会社グラコネ

ITジャーナリスト 星暁雄

2021年、社会的インパクトが大きな暗号通貨関連の動きは米国主導と予想する。決済アプリが暗号通貨を、銀行がステーブルコインを扱う。

一方で規制も強まり、ICOだけでなくDeFi、ウォレットサービスなどが証券法違反やマネーロンダリングの疑いで摘発される可能性もある。

中国では民間マネーのAlipay、WeChat Payから中央銀行マネー(デジタル人民元)への移行を進めながら、暗号通貨への締め付けが続く。日本の規制は暗号通貨(暗号資産)を一部投資家のための「怪しいもの」とみなし主流金融から排除したため、大きな変化は望めない。

その中で前払式支払手段扱いの日本円連動ステーブルコインJPYCには注目している。

星暁雄

Ethereum Foundation 宮口あや

昨年はCovidや政治的問題の影響により、国を跨ぐビジネスや協力活動、透明性のあるガバナンスの必要性が一般の人の目にもより明らかになりました。

その必要性を支える分散型技術が、パブリックなブロックチェーンであるイーサリアム。初期に困難だったセキュリティやプライバシーのソリューション技術も向上し、今年は既に出てきている金融、政治、医療、教育と全ての分野でのブロックチェーン上のアプリケーションの数が増え、更に世の中の問題の解決策を提供するでしょう。

プラットフォームレベルではスケーラビリティと共に環境のことも考えるETH2.0の最初の段階を終えましたが、2021年にはさらなるアップデートとETH1とETH2.0の合併が進められます。

Ethereum Foundation

みんな電力 専務取締役 三宅成也

みんな電力は2018年にブロックチェーンを活用した電力取引・トレーサビリティシステムを商用化し、発電所を指定して再エネ電気を購入できる電力小売サービスを実現しました。

現在、RE100を標榜する法人企業を中心に約370契約で電源を指定した電力供給を行っています。 これらの電力取引における実績を基に、他分野でもブロックチェーンを活用したトレーサビリティシステムの構築に挑戦していきたいと考えています。

例えば、建築用木材の産地証明を行うシステムや児童労働に関与しない希少金属のサプライチェーンを透明化するシステムなどです。 ブロックチェーンはあくまで手段の一つ。

みんな電力は「生産者が見える」「誰かとつながる」など、特別な体験を提供することで社会のアップデートに取り組んでいきたいと考えています。

みんな電力株式会社

ソラミツ CEO 宮沢和正

今年はリモート社会がさらに加速し①物販、教育、医療、金融、電力など様々な分野でデジタル化が進展②地域創生やスマートシティなどにより地産地消が進み地域に付加価値を確保③AIなどを活用したデータ利活用により企業活動が活性化し新たな付加価値を創出。

重要なことは、これらヒト・モノ・カネのデータの信用の土台を確立し、分散型で相互運用性のある社会システムを構築してゆくことである。ブロックチェーンはその為の技術の一つである。

いよいよ今年は日本銀行も中銀デジタル通貨の実証実験を実施するが、ブロックチェーン技術の自治体、企業、金融への適用も大きく進む一年になると期待している。

ソラミツ株式会社

SBI R3 Japan ビジネス開発部長 山田宗俊

「10年後に自分達の存在意義はなくなる」、業界のリーダー企業が口を揃えて言う危機意識です。2021年は、この危機意識を行動に移す業界リーダーと、これまで通り”様子見”する企業とで差が付く1年になると思います。 2020年以降、確実に業界横断・サプライチェーン横断のプラットフォーム構築が進展しています。

少額短期保険業界のSTATICEはその一例を言えるでしょう。年末に経済産業省が発表したDXレポート2においても、”共通プラットフォーム”というというキーワードが出てきています。

お客様にとって有益なデータを安全に流通させるための新しいエコシステム確立に向けて、業界リーダーによる主導権争いが加速すると予想しています

Stake Technologies CEO 渡辺創太

2021年注目していることが2つあります。1つ目はDAppsにおけるEthereum 1強体制が続きレイヤー2アプリケーションが勃興するのか?それともマルチチェーン化が進みPolkadotのようなプラットフォームにDAppsが移るのか?もう1つはオンチェーンガバナンスです。

ガバナンストークンを発行しているプロジェクトのトークンモデルが比較と検証のできるフェーズに入るのでブロックチェーンのガバナンスモデルが広く議論されることになると思います。

両者ともパブリックブロックチェーンを事業者としてやっていくにあたって非常に重要な問題だと思います。我々もより最先端の議論や実装に参加できるように頑張ります。

→記事TOPページの戻る

関連するキーワード

この特集のその他の記事

【2021年版】ブロックチェーン・暗号資産(仮想通貨)業界を牽引する35人の「2021年の展望」

今回は年始の特別企画として、ブロックチェーン・暗号資産業界を牽引する皆様に「2021年の展望」を寄稿いただきました。これからも「あたらしい経済」は日本のブロックチェーン・暗号資産業界を、業界内の皆様と一緒に盛り上げていけるようにメディア運営をしていきたいと思っております

【2022年版】Web3時代はすぐそこか? 暗号資産・ブロックチェーン業界を牽引する52人の「2022年の展望」

「あたらしい経済」の年始の特別企画として、ブロックチェーン・暗号資産業界を国内外で牽引するプレイヤーや有識者の方々に「2022年の展望」を寄稿いただきました。 この記事には私たちがこれからの「あたらしい経済」時代をサバイバルしていくための、多くのヒントやインサイトに溢れています。