NASDAQ上場の国内企業が目指す「法の民主化」、Web3活用やビットコイン購入も検討(Robot Consulting 横山英俊)

特集 あたらしい経済インタビュー

横山英俊

Robot Consulting が目指す「法の民主化」、Web3活用やBTC購入も検討

7月17日、Robot Consulting(ロボットコンサルティング:LAWR)が、米NASDAQでIPO(新規株式公開)し、今年日本企業としては初の上場を果たした。同社はAIを活用した「ロボット弁護⼠」の開発を進めている国内のリーガルテック企業。弁護士で元大阪府知事・大阪市長の橋下徹氏がアドバイザーを務めている。

今回「あたらしい経済」はRobot Consulting代表取締役会長の横山英俊氏を取材。開発中の「ロボット弁護⼠」についてや、ブロックチェーンの活用構想、そしてビットコイン財務戦略への考えなどについて訊いた。

Robot Consulting代表取締役会長の横山英俊氏

Robot Consulting 横山英俊氏インタビュー

――「ロボット弁護士」とはどのようなサービスですか?

「ロボット弁護士」は、LLM(大規模言語モデル)の技術を採用し、ユーザーがネット検索する感覚で気軽に無料で法律相談ができるサービスです。現在複数の主要なLLMモデルを採用して開発を進めていて、今年10月にローンチ予定です。まずはアメリカと日本の法律に対応し、その後アップデートして世界中の法律に関する相談に対応していく予定です。

さらに「ロボット弁護士」では法律相談に留まらず、弁護士を紹介するマッチング機能も提供します。24時間365日、世界中のどこにいても法律相談ができ、さらに弁護士まで紹介してくれるサービスです。

――いわゆる一般的な弁護士紹介サイトやサービスとの差別化はなんでしょうか?

まさにAIを活用した部分です。ユーザーと「ロボット弁護士」の相談過程のやり取りがヒアリングシートになり、それを元にマッチングしますので、最適なマッチングができると考えています。

また「ロボット弁護士」では本人訴訟のAIエージェント機能を実装します。たとえば開示請求や答弁書の作成など、簡易な手続きは「ロボット弁護士」が支援できます。本来なら弁護士を介さなければならなかったプロセスの一部を、エージェント的にAIが担うことで、誰でも法的アクションを取れるようにしたいと考えています。

――AIが法律相談を担うと、誤回答のリスクもあるのではないでしょうか?

実はそれも戦略的に設計しています。例えば「ロボット弁護士」が100%正解の回答をしてしまうと、非弁行為になってしまう。だからこそ、「ロボット弁護士」はインターネット上の情報をもとにフロントマン的に「参考意見」として提示するようにしています。

ただしAIの返答にはデジタルの法律に精通したSAKURA法律事務所の監修が入ることで正しさの精度を担保する仕組みです。

――今後「ロボット弁護士」ではブロックチェーンとAIデータを融合も検討されると発表されています。具体的にどのようにブロックチェーンなどWeb3技術を利用するイメージでしょうか?

例えば、弁護士の評価や法律に関する情報の正しさを担保したり、また法律相談におけるプライバシーの部分を管理したりするのにブロックチェーンは有用だと考えています。さらに契約書の証明や履歴の管理などにも活用できると思います。AIとブロックチェーンは相性がいいと思いますので、それらをデータベースへの活用、そして他のAI×ブロックチェーン関連のプロジェクトとの連携を検討していく予定です。

またそこから発展して、いわゆるブロックチェーンのパブリックであり分散型であるという概念そのものが、法律の未来に繋がると考えているのです。

法律はこの地球に生きる人であれば誰にでも関係するものですが、ネットやメタバースなど、法律がまだまだ追いついていない部分も多いです。将来的には「ロボット弁護士」が収集した大量のデータをもとに、社会のトレンドをAIが分析し、新たな法提言ができる可能性もある。

そのような取り組みを進めて、弊社の「法の民主化」と「分散型法律概念」といった理念を、世界に広げていきたいと考えています。

――昨今、上場企業がビットコインなど暗号資産を財務戦略に取り入れることが増えてきております。そのような取り組みをどう考えていますか?

おっしゃる通り、NASDAQでもストラテジー(旧マイクロストラテジー)をはじめ、複数の企業が暗号資産の購入を進めていますね。

実は、私たちもビットコインの財務戦略を前向きに検討しています。現在、暗号資産取引所とも話をしています。

企業がビットコインを購入するのは、もちろん資産運用、株価のためという側面があると思います。ただそれだけではなくて、ビットコインがどの国にも依存しない資産であるということに非常に魅力を感じているんです。

私たちのような、法を民主化する、分散化するという取り組みをしていく企業は、時には国に抗うことも出てくるかもしれない。そんな時にビットコインを持っておくという選択肢は、重要なアクションではないかと考えています。

そういった意味も込めて、現在検討中ではありますが、もしビットコイン財務戦略を進めることになれば、第二のストラテジーやメタプラネットを目指すぐらい積極的にいきたいですね。

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撮影:堅田ひとみ

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横山英俊

株式会社Robot Consulting 代表取締役会長

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