ゲーム業界を変革するCryptoKitties、ブロックチェーン・ゲームだからこその可能性「CryptoAge主催 CryptoKittiesミートアップ in Tokyo」イベントレポート

特集 CryptoAgeイベントレポート

デジタルな猫の情報をEthereumブロックチェーンに記録しながら、交配、トレードなどを行うゲーム「CryptoKitties」のBenny Giang氏をゲストに迎え、若者を中心にしたブロックチェーンコミュニティ「CryptoAge」がイベントを2018年8月10日に開催しました。

このイベントでは、「CryptoKitties」の共同創業者であるBenny Giang氏が登壇し、ブロックチェーンのゲームの必要性や、デジタルアセットの可能性についてジョークを交えながらわかりやすく解説しました。本記事はできるだけ登壇者本人の言葉を残したままイベントの内容を記事にまとめさせていただきました。

CryptoKittiesとは?

「CryptoKitties」はイーサリアムブロックチェーンプラットフォーム上で動作するdApps(分散型アプリケーション)です。ネコを育成するだけではなく、繁殖、更にはマーケットでの取引など遊び方は様々で、最も人気を博しているブロックチェーンゲームの1つです。なかでもCryptoKittiesで使われている「Non-Fungible Token(代替不可能なトークン)」の「ERC721」は革新的で、ゲームだけでなく様々な領域で応用が可能とされています。

2018年3月にはユニオンスクエアベンチャーズやアンドリーセン・ホロウィッツなどUSの著名なベンチャーキャピタルから約12億円の資金調達を実施しました。メンバーもそれぞれゲームやIT業界の大手やスタートアップなど様々なバックグラウンドを持った多様な人材が集まっており、全員合わせれば18カ国語を操ることができます。将来的にはゲームを21言語に対応させる予定。

Benny Giang 氏によるプレゼンテーション

なぜブロックチェーンのゲームが必要なのか?

ブロックチェーンは国、文化、産業の壁を超え、ユーザー間でグローバルに直接情報を交換することを可能にする技術です。

現在も世界中に面白いゲームが沢山ありますが、どんなに面白いゲームでも会社がサービスを終了させてしまったら、ユーザーがせっかく費やした時間も無駄になってしまいます。

「CryptoKitties」を含めたブロックチェーンのゲームは会社が倒産しようが、サーバーが落ちようが、運営メンバーに何かトラブルがあろうが、ネットワークが稼働する限り、動き続けることができます。そして分散型ネットワークを用いていることも、見逃してはならないポイントです。

CryptoKittiesは他のゲームとどう違うのか?

CryptoKittiesには現在約90万種類の可愛い猫が存在しています。

Gen0(generation 0)と呼ばれる猫がどんどん生まれ、それらをブリード(交配)させて猫を増やしていきます。Gen0の猫は15分に一匹生まれますが、今年の後半からはもう生まれなくなります。

猫の特徴はその猫のDNA(文字列)によって決まりますが、このDNAの文字列は親のDNAのハッシュにより生成されます。

猫は本来卵から生まれませんが、卵から生まれた方がかわいいので、「CryptoKitties」では卵から生まれる設定にしています。

遺伝に関しては、メンデルの法則に基づいて優勢・劣勢の特徴を保つため、隔世遺伝もありえます。バリエーションとしては40億もの種類が考えられ、ユニークな猫たちが沢山存在します。これは例えば、おばあちゃん猫の毛の色が突然孫猫に反映されることもあるということです。

また、遺伝子をパズルのようにうまく掛け合わせれば、親とは全く違うファンシーな猫が生まれます。(遺伝のアルゴリズムに関わるコードは公開されておらず、開発チームのごくわずかの人間しか知りません)。

それぞれの猫にはプロファイルがあり、所有者の名前や猫の親や子供の情報も見ることができます。猫に関する情報はイーサリアムブロックチェーンに記録されてるため、情報を検証するのは容易に可能です。

「CryptoKitties」にはコレクション機能もあり、各カテゴリの猫を全て集めるとサプライズがあります。また、ジェネシス猫と呼ばれる一番最初の一匹目の猫は(ブロックチェーンでいうgenesis blockに対応する)10万ドルで売却されました。

これは「CryptoKitties」の猫が正真正銘のデジタルアセットして認められたことを示します。

デジタルアセットが創り出すゲーム業界を変革する可能性

「CryptoKttitties」の猫たちは1社の中央サーバーで保管されていない所に強みがあり、これはデジタルな資産の管理という観点で非常に大きな可能性を秘めています。

私たちはニューヨークで開催されたカンファレンスで、オリジナル猫の情報が入ったハードウェアウォレットを披露しました。この猫はオークションによって売却されたのですが、これはアート、ゲーム、ブロックチェーンの3つが融合した瞬間でした。そしてkittyが資産として見なされた瞬間でもありました。

このように「CryptoKttitties」のような「Non-Fungible Token」はデジタルアセットとして大きな可能性を秘めていると言えます。ただ、このようなデジタルアセットはゲームやアートのためだけのものではありません。

例えば、10歳のベラちゃんはシアトルの小児病院の資金調達のために「CryptoKttitties」を利用し、1万5000ドルの資金調達に成功しました。また、CryptoKttitties社の投資家ビル・タイとの協賛でHonuという限定猫を作成し、2万5000ドルで売却し、その資金をウミガメの保護に充てました。

このようにデジタルアセットは、コレクションとしてだけではなく新しい資金調達方法としても有効であると言えます。さらに、「CryptoKttitties」で収集した猫たちは将来的に別のゲームなどでも使えるようにしたり、ポケモンのように進化できるようにしたりと、その用途は無限に考えられます。

つまり可能性は無限ということです!

CryptoKittiesの今後

現在はアンドロイドのアプリケーションを作成中で、8月11日以降はどのアンドロイドデバイスでもゲームをダウンロードすることができます。またHTC(台湾を拠点とするスマートフォンメーカー)との提携を先日発表し、8八月下旬の新しいHTCphone U12+ではなんとデフォルトで「CryptoKttitties」がインストールされており、今後は携帯でもCryptoKittiesが簡単に遊べるようになります!

オープンなブロックチェーンゲームとして今後は猫ちゃん達を使ったゲームをどんどん開発し、また開発者を支援していく予定です。ゲームはすべて公開されており、開発の許可は不要です。猫を持っている人ならば誰でもやりたいゲームを選ぶことができます。今後は猫たちが作る世界を今後どんどん大きくしていきたいです。

次ページ「パネルディスカッション」につづく

パネルディスカッション

また、イベント後半ではパネルディスカッションを行い、「CryptoKitties」のBenny Giang氏に加え、Cryptoeconomics Lab CTO の落合渉悟氏、トークンポケット株式会社共同創業者中村昂平氏、Wei Walletの佐藤大輔氏、CryptoAgeの大日方祐介氏を交えながら、「CryptoKitties」に関する質問やブロックチェーンの将来についての議論をしました。

[パネルスピーカー]
Benny Giang氏 (CryptoKitties 共同創業者)
落合渉悟氏 (Cryptoeconomics Lab CTO)
中村 昂平氏(トークンポケット株式会社 共同創業者)
佐藤 大輔氏 (Wei Wallet)
大日方祐介氏 (CryptoAge)

(左から佐藤氏、中村氏、落合氏、Benny氏 、後列 大日方氏)

Q. 落合氏:アニメ化はいつですか(笑)?

A. Benny氏:ハリウッドの複数のプロデューサーからネットフリックスで作品を作らないかという話が出ていますので、近い将来に実現するかもしれません。

Q. 中村氏:ガスはなくならないのですか?

A. Benny氏:ガスが無料になるということはまず考えにくいので、極力ガスがかからないシステムを考えるしかありません。しかし、そこはあまり問題ではないと思います。長期的に言えば、コミュニティを拡大することこそ優先されるべきであり、ガスの優先順位は我々にとっては低いです。

Q. 大日方氏:日本のコミュニティについての印象はどのようにお持ちですか?

A. Benny氏:仮想通貨取引では過去に色々問題がありましたが、今は規制がすごく進んでいると思います。さらに、Cryptoが生み出す世界に対して若い層が大きな熱意を持っていると思います。ただ、日本に足りないのは大手ゲーム会社の取り組みですね。

大手ゲーム会社がもっとブロックチェーンのゲームに興味を示せばきっともっと面白くなってくるだろうと思います。また、日本のコミュニティはどんどん成長していると思うので、今後はコミュニティの成長に加え、実際にどんどん何かを作るということも重要になってくると思います。

Q. 佐藤氏:Dappsがモバイルに移行するためのカギはなんですか?

A. Benny氏:ブラウザゲームが全てではありません。最初は既存のブラウザで練習のような感覚で「CryptoKitties」を作りました。将来的にブロックチェーンのゲームが勝つためにはゲームを始めるためのややこしい手間をなくし、プレイしやすいものにしなければなりません。今は仮想通貨の購入とか複雑な工程が多すぎますよね。

Q. 落合氏:AppleのAppStoreやGoogleのPlayStoreを使わないアプリがありますがCryptoKittiesはどうお考えですか?

A. Benny氏:来週、ちょうどGoogleに行くので非常にタイムリーな質問です。AppStoreやPlayStoreの構造や集約モデルには色々な問題があります。私たちのゲームはただのゲームではありません。いわばアセットを取引するプラットフォームのようなものなので、価値あるアセットの金額のうち約30%を取られてしまうのは果たしてどうなのか?という課題があります。現在GoogleやAppleに理解を求めている最中です。

Q. 中村氏:CryptoKittiesの非中央主権化についてどうお考えですか?

A. Benny氏:確かに完全な分散型ではありませんが、肝心な情報(取引や猫自体の情報)はちゃんとブロックチェーンに記録されています。十分な分散化がされていれば良いのであって、何もかも分散化すればよいのではありません。重要なのは中央集権と分散のバランスなのです。つまり、今後はブロックチェーンゲームをはじめデジタルアセットを管理するサービスを見極めるためにはどの情報がブロックチェーンに記録されているかをしっかり見る必要があると考えています。

Q.  参加者:スマートコントラクトを安全に構築するためにはどうすればいいでしょうか?

A. Benny氏:まずスマートコントラクトの開発にアジャイルの考え方は当てはまりません。スマートコントラクトをメインネットにデプロイするのは衛星を宇宙に打ち上げるのと同じようなものです。だって、後からどうすることもできませんから。したがって、安全なコントラクトを構築するためには、デプロイ前の徹底的な検証が必須です。

Q.  参加者:猫を「Non-fungible token」で持っていたとして、プラットフォームがなくなると消えてしまうのではないでしょうか?

A. Benny氏:それは当然そうだが、理想的な未来としては、様々な行動が色々なチェーンに登記されることや、多様なゲームが開発されることで、色々なサービスが猫の価値を保持してくれるようなことを期待しています。

Q.  参加者:AR技術をサービスに導入すると言っていましたが、それはどれくらい本気で言っていますか?

A. Benny氏:導入するとしてもそれは将来的になりますね。今とっても関心があります!

(イベントレポートおわり)

→「CryptoKitties」公式サイト

この記事の著者・インタビューイ

吉川飛空/北岡知晃(CryptoAge)

吉川飛空(Hitaka Yoshikawa) 北岡知晃(Tomoaki Kitaoka) 《CryptoAgeとは》 CryptoAgeは、ブロックチェーン・クリプトエコノミー領域の最新情報、海外での一次情報を共有しながら、未来を考察する新しいコミュニティです。 オフラインでの勉強会やMeetupなども企画します。

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