「そうだったのかブロックチェーン」Ep.16
このポッドキャスト番組では、日銀・金融庁で銀行監督の経歴をもち、現在は周南公立大学情報科学部でブロックチェーンについて教鞭を執る内田善彦と、グルメアプリのファウンダーとして、Web2サービスにブロックチェーンを掛け合わせ、Web3事業を構築したキャリアを持つ酒井勇也、そしてクリプト専門メディア「あたらしい経済」副編集長の大津賀新也の3人が、ブロックチェーンについて今知っておくべきことを紹介します。
第16回となる今回は、前回の「ステーブルコイン編」の延長戦として、既存金融の前提とWeb3業界が掲げる理想との「ズレ」を軸に議論しました。
まず、既存金融の基本を、最終決済手段が法定通貨であること、銀行の信用創造を軸とした経済システムであること、倒産に関する制度が整備され、貸し倒れの可能性を前提として与信が成り立つことの3点に整理しました。
これに対し、Web3業界の理想として、通貨発行権限の民主化、銀行を必須としない分散型システム、過剰担保と「Code is Law」を前提とした自己責任を対置。KYCやプライバシーをめぐり、両者の議論がすれ違う構造を確認しました。
そのうえで、ステーブルコインを既存金融で使うなら、所有権の移転と与信を実務で回すための既存制度に乗るほかなく、「いいとこ取り」は難しいことを指摘。また、銀行にとってはステーブルコインよりトークン化預金の方が筋がよいことや、BIS(国際決済銀行)やIMF(国際通貨基金)などで、決済手段に求められる「単一性・弾力性・完全性」の観点から、ステーブルコインを未成熟とする議論があることにも触れました。
最後に、米国がステーブルコインを推進する一方でCBDC(中央銀行デジタル通貨)を禁じる背景にある、通貨発行をめぐる思惑にも踏み込みました。
さらに「オンチェーンファイナンス」について、既存金融の何をどこまで変えるのかという計画が見えず、議論の土台となる情報が十分に示されていないと問題提起。むしろ金融以外の領域の方がブロックチェーンを生かせるのではないか、という視点で締めくくりました。
なお第13回から第18回では、既存金融の基礎からブロックチェーンとの接合の可能性に迫ります。
次回、第17回目は2026年9月15日に配信予定です。今回までのステーブルコインの議論を踏まえ、DeFi(分散型金融)をテーマに、ステーブルコインとの関係やその可能性について解説します。
ポッドキャストを再生する
以下より番組をお聞きいただけます。再生ボタンから再生ください(クリック後10秒ほどお待ちください)。
出演者
内田善彦
1994~2023年日本銀行。金融研究所・企画役、金融機構局・企画役(グループ長)等。金融機関のリスク管理・経営管理に関して様々な角度から考察を加える。この間、金融庁、大阪大学、東京大学でも勤務。2023年6月〜11月株式会社クエストリー取締役、2024年4月〜12月カシェイ取締役として、web3スタートアップに経営者として参画。現在は、周南公立大学情報科学部教授(2023年6月から)として教鞭を執る傍ら、株式会社サイバーリンクス社外取締役(2024年3月から)としてデジタルIDや電子署名関連のビジネス等を推進するほか、株式会社ゆいづむ代表取締役(2025年10月から)としてブロックチェーン活用に関連するコンサルティングを行う。
Xアカウント:https://x.com/uchida_tomato
酒井勇也
学生時代に株式会社SARAHを共同創業。日本最大級のメニュー特化型グルメアプリ「SARAH」に加え、大手食品メーカー向けの外食ビッグデータサービス「FoodDataBank」を構築した。COOとして累計10億円の資金調達やM&A、PMIを主導。2019年より、SARAHのWeb3化を主導。食・ヘルスケアのデータ管理に特化したレイヤー1独自ブロックチェーン「ONIGIRI Chain」の開発や、トークンエコノミーを構築した。2025年の代表取締役退任を経て独立。現在は、実需を伴うブロックチェーン活用やWeb3事業の社会実装に特化したコンサルティングを展開している。
Xアカウント:https://x.com/skyuya03
聞き手:あたらしい経済 副編集長 大津賀新也
そうだったのかブロックチェーン公式Xはこちら:https://x.com/soublock
そうだったのかブロックチェーン公式サイト:https://soublock.com/