「そうだったのかブロックチェーン」Ep.14
このポッドキャスト番組では、日銀・金融庁で銀行監督の経歴をもち、現在は周南公立大学情報科学部でブロックチェーンについて教鞭を執る内田善彦と、グルメアプリのファウンダーとして、Web2サービスにブロックチェーンを掛け合わせ、Web3事業を構築したキャリアを持つ酒井勇也、そしてクリプト専門メディア「あたらしい経済」副編集長の大津賀新也の3人が、ブロックチェーンについて今知っておくべきことを紹介します。
第14回目となる今回は、第2部「既存金融×ブロックチェーン」の第2回として、前回触れた「与信(相手に信用を与えること)」について深く議論しました。
月末払いの給料や掛けによる仕入れ、SaaSの年間契約などを例に、その場、その時で完結しない取引には与信が伴い、現代のビジネスが与信によって成り立っていることを確認。企業は銀行から与信を受けて融資を得、その資金を元手にレバレッジを利かせ、バランスシートや事業を大きくしていきます。一方、融資では返済不能時に相手を特定し、資産を回収できることが重要で、その前提としてKYCによる本人確認だけでなく、支払い能力の審査や法制度・裁判所による裏付けが欠かせないと整理しました。
さらに貿易金融を例に、国際送金の大半は貿易の決済であり、信用状(Letter of Credit:L/C)と船荷証券(Bill of Lading:B/L)を通じた相互の与信で成り立っていることを解説。デジタル化とクリプトを混同してはならず、二国の法制度や裁判所が受け入れられる、国境をまたぐ「ほふり」のような仕組みを作るのは容易ではないと指摘しました。また、貿易金融の与信管理に関する電子化・デジタル化・効率化には20〜30年にわたり取り組みが続けられているものの、いまだ決着していないことにも触れました。
そのうえで、KYCなしのノンカストディアルな世界を出発点とするクリプトは与信を扱いにくく、与信行為が終わった後の「決済」に特化するのが一つの有効な使い方であり、オンチェーンですべてを行おうとするのは守備範囲の取り違えではないかと問題提起。オフチェーン情報を扱うスマートコントラクトにはオラクル問題が伴うため、「クリプトありき」でナラティブを作るのではなく、まず実現したいことを定め、そこから逆算して必要な仕様や使い方を考えるべきだという視点が示されました。
なお第13回から第18回では、既存金融の基礎からブロックチェーンとの接合の可能性に迫ります。
次回、第15回目はステーブルコインをテーマに、2026年9月1日に配信予定です。
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出演者
内田善彦
1994~2023年日本銀行。金融研究所・企画役、金融機構局・企画役(グループ長)等。金融機関のリスク管理・経営管理に関して様々な角度から考察を加える。この間、金融庁、大阪大学、東京大学でも勤務。2023年6月〜11月株式会社クエストリー取締役、2024年4月〜12月カシェイ取締役として、web3スタートアップに経営者として参画。現在は、周南公立大学情報科学部教授(2023年6月から)として教鞭を執る傍ら、株式会社サイバーリンクス社外取締役(2024年3月から)としてデジタルIDや電子署名関連のビジネス等を推進するほか、株式会社ゆいづむ代表取締役(2025年10月から)としてブロックチェーン活用に関連するコンサルティングを行う。
Xアカウント:https://x.com/uchida_tomato
酒井勇也
学生時代に株式会社SARAHを共同創業。日本最大級のメニュー特化型グルメアプリ「SARAH」に加え、大手食品メーカー向けの外食ビッグデータサービス「FoodDataBank」を構築した。COOとして累計10億円の資金調達やM&A、PMIを主導。2019年より、SARAHのWeb3化を主導。食・ヘルスケアのデータ管理に特化したレイヤー1独自ブロックチェーン「ONIGIRI Chain」の開発や、トークンエコノミーを構築した。2025年の代表取締役退任を経て独立。現在は、実需を伴うブロックチェーン活用やWeb3事業の社会実装に特化したコンサルティングを展開している。
Xアカウント:https://x.com/skyuya03
聞き手:あたらしい経済 副編集長 大津賀新也
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