「いまブロックチェーン業界で働くことをオススメする理由」LayerX CTO 榎本悠介氏インタビュー(1)

特集 動画と音声と文字で学ぶ「あたらしい経済」

榎本悠介

動画と音声と文字で学ぶ「あたらしい経済」

読者の方のニーズに合わせてコンテンツを提供する新企画「動画と音声と文字で学ぶあたらしい経済」がスタートしました。ブロックチェーン/仮想通貨(暗号資産)のキープレイヤーを取材し、さまざななメディア形態でお届けします。

LayerX CTO 榎本悠介インタビュー #01

第1弾はLayerXのCTOである榎本悠介氏に「なぜいまブロックチェーン業界で働くべきなのか?」「ブロックチェーン周辺スキルの習得方法」「LayerXで活躍する人材」について語っていただきました。

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Transcript

竹田:今ブロックチェーン業界で若者であったりとか、新しい人がこの業界で働くメリットとかに意味、どういう強みがあるかっていうところをキャリアを軸に答えてもらおうかと思っているんですけど。よろしくお願いします。

榎本:早速難しい質問が来たなって感じではあるんですけど。すごいいろんな考え方があると思っていて、じゃあ僕自身がなんでこの業界にいるんだっけみたいなところを入り口から話そうかなと思っていて。

僕はいわゆるWEBエンジニア上がりで、最初DeNAにいて、グノシーにいて、結構新規事業を作ってきたんですけど、途中からブロックチェーン研究開発するぞみたいなのが決まり。そこから実質僕中心ですけど、最初2~3人とかだったんですけど立ち上げたんですよね。

その時にサトシナカモトの論文だとか、入門書とかから始めたんですけど、結構すごい新しいパラダイムに衝撃を受けたっていうのがあって。論文自体がめちゃくちゃ美しいな、力強くてセクシーだみたいに思ったんですけど。っていう、結構この業界にいる人で多いと思うんですけど、なんかキャリアとか以前に、まずめちゃくちゃ面白いなって思った人は多いなって思ってます。

特にパブリックチェーン側の人とかは特にすごい人が多いかなとは思っていて。なので短期的にはまだブロックチェーン色んな課題はあると思うんですけど、長期的にこの業界来るよねっていうのを結構信じる人ほど、キャリアとか以前に楽しんで働いているなっていうのは思ってます。

竹田:WEBエンジニアとしてやってきて、そのサトシナカモトの論文であったりとか様々なパラダイムの違いっていうのを受けたっていうところで。具体的にWEBからブロックチェーンの領域になった時に、どういうところの違いに衝撃を受けたのかなっていうところを聞きたいです。

榎本:WEBからって言うとちょっと文脈違っちゃう気がするんですけど、とりあえず衝撃を受けたのは色んな人が利己的に行動しているだけのはずなのに全体として合意形成されているっていう…。なんですかね、パズルのピースがカチカチはまって全体の一個の上手い生態系が生まれている。

で、僕自身入ったのが結構遅かったので、ビットコイン始まってもう七年くらい経ってたのかな。っていうので、この仕組み今まで7年動いて、これだけ時価総額作ってるのって、結構単純に衝撃を受けたっていうのはありますね。

竹田:その中で、今やっぱりブロックチェーン業界で働いていて僕自身も感じることなんですけど。やっぱりスキルとして、たくさんのスキルが本当に通用する、総合格闘技みたいな話もあるんですけど。

その中で僕としてはキャリアの中で、金融・技術・英語・グローバルで全部をセットで学べるというか、そこに挑めるのがこの業界のすごく面白いところだなって思っているんですけど。

そういう観点で考えた時にもブロックチェーン業界、まあ事業をLayerXは作っていると思うんですけど、キャリアとして新しくこの会社とかこの領域に入ってきたいって人たちに向けてどのようなメッセージがあるかなっていうのを聞きたいです。

榎本:めちゃくちゃ色んなスキルが付くと思っていて、まだ業界自体も黎明期かそこらだと思っていて。全然固まったものがないというか、どんどん現在進行形で進化しているし、関わるプレイヤーもどんどん変化しているし、結構業界全体が大きくなっているとは思うんですよね。

Libraとか、Libraがなんなのかについては結構議論が分かれるとは思うんですけど、Libraを中心に世界的にすごい議論が巻き起こっていて、法規制が敷かれて、すごい大きなプレイヤーがどんどんブロックチェーンに興味を持って、実際に開発や産業を始めているっていうので。

かなり中にいて思うのが、結構すっちゃかめっちゃかというか。そういう中ですごい色んなスキルを求められているなって思ってて。最初はリサーチみたいなところからやっぱり入ったんですけど、途中からなぜかマイニングのためにモンゴルに旅立ったりとか。当然英語も必要ですし。

あとはいま結構、僕自身はR&Dっていうよりは事業開発の方にかなりコミットしているんですけど。そうすると一社だけだとなかなか難しいので、結構大手さんと組んだりしてやってるんです。そうするとやっぱり大手さんに上手くやりとりするスキルですかね、結構新しいブロックチェーンを伝えるのはどうしたらいいかみたいな。

で結構、ちょっと話が広がっちゃうんですけど、ブロックチェーンってやっぱ特にコンソーシアムの文脈で言うと、難しいのは一社だけでは完結しないところだと思ってて。いかに複数社で協調させるか。

一社だけだと全く意味ないんで、複数社で組んで共有台帳・分散台帳を作ることが意味があると思うんですけど、そうするとやっぱり一気にプロジェクトの難易度が跳ね上がってくるので。

そこをどう上手く…、ファシリテートって言うとおこがましいですけど、複数社ある時にどうLayerXとして関わっていくかみたいなところはめちゃくちゃスキルが試されるところだなって思っていて。

先ほどおっしゃられていた英語だとか技術力、企業さんと話す力だとかリーガルの知識とか、すごい色んな能力が。自分自身2年前までただのエンジニアだったんですけど。

俺2年後こうなっていることを全く想像していなかったみたいなくらいに多様なスキルが伸びているなとは思っていて。なので、めちゃくちゃチャレンジングな環境であることは間違いないので、もっとみんな来てみたいなのは思いますね、この領域に。

竹田:榎本さん自身スキルの習得の部分で、エンジニアとしてやってきて新しい金融であったりとか、法律の部分、様々な領域のことを学ばないといけないと思うんですけど。まず個人としてそのスキルをどういう風にして学んでいったのかっていうところをまず教えてもらってもいいですか。

榎本:こういったらあれなんですけど、チームで学ばせてもらってるっていう自覚があって、最初はすごい少人数だったので。最初のグノシー時代とかはまず人を集めなきゃっていうのがあったんですけど、大きいことをやるには。

というので、かなりブランディングって言うとあれなんですけど、ちゃんと研究開発しているからみんな来てよっていうメッセージのためにそれに取り組んでたんですけど。やっぱ事業を作るってなっていくと、すごい多様な知識を求められてきて。

なので、いまLayerXとしては毎日勉強会を1時間していて、30分×2コマみたいな感じで。テーマは選ばずそれぞれの強みを勝手に枠を抑えて、みんなに伝えるみたいな会をしていて。

そこでは技術も当たり前ですし、結構金融面の話とかリーガル面の話とか、そういう海外のプロジェクトの動向とか。全然関係のないドメインの話、貿易協会って実はこうなんだぜみたいなのとか、車業界って術はこうなんだぜとか。

ブロックチェーンって色んなドメインに関係するじゃないですか。っていうので色んな産業界の話をしたりだとか、それぞれがそれぞれの知識を持ち寄って共有するみたいな場を開いていて。

とてもじゃないけど、そういうのを無しに自分で調べて、かなり非効率な気がしていて。なのですごい会社にいる強みみたいなのを今特に感じていますね。

竹田:なるほど。現時点でLayerXの中でまず考えてほしいんですけども。やっぱりこのブロックチェーン業界で、こういうモチベーション、スキルセットでもそうですし、マインドの部分でもそうなんですけど、具体的にどんな人が活躍してくれているなって思っているところがありますか?

榎本:結構LayerXの行動指針の1つでもあるんですけど、Be animalみたいなところがあるんですよね。なので結構テーマとしてはLearning animalにも近いと思うんですけど、ひたすら学び続けられる人。

で、この業界の変化を楽しめる人みたいな。これやってくださいって言われて、うっすやりますみたいなタイプは、もしかしたら職人として強いシーンはあるかも知れないけど。というよりは自分でなにやるべきかを考えて、いきなりこの事業辞めるわって言われても、うっすじゃあこれやりますみたいな。

もちろん辞めますって言われて。はい、辞めますって言うよりは、なんでですかっていうコミュニケーションがあるのが大前提ですけど、そういうわけ分からない変化も含めて全部楽しめる人みたいな。

ちょっと稀有な人材かもしれないんですけど、そういうシチュエーションの変化、求められるスキルの変化、前提の変化とかを全部踏まえて、ひっくるめて自分事で考えて、対応できる人っていうのは結構LayerXで活躍しているなって思います。

竹田:榎本さん自身この1年間、LayerX去年の8月に作られたと思うんですけど。その1年の間に、見るべき産業であったりとかって変わったりしているんですか?

榎本:めちゃくちゃ変わりましたね。そもそも結構1年前はパブリックチェーンとかを見ていて、僕自身、多分この業界あるあるなんですけど、コンソーシアムチェーンとか意味ないっしょみたいな感じに思いがちだったんですけど。

この1年でかなり考え方が変わって、パブリックチェーンの求めている姿とか解決しようとしている課題とコンソーシアムチェーンの解決しようとしている課題とかあるべき姿って、それぞれ全然違ってそれぞれ全然あるなっていうのが、結構チーム内でも議論があったんですよね。

コンソーシアムチェーンってなんであるのみたいな、意味あるのみたいな。あるいは、それブロックチェーンじゃなくて良くないっていう。よくある「それブロ問題」みたいな、結構チームの中でも議論が行ったり来たりしてたんですけど。だいぶ固まってきたというか。

らせん状にどんどん理解が深まっていって、いまではすごいコンソーシアムチェーンに興味があるんですよね。まあコンソーシアムじゃなくてもいいんですけど、企業同士で何かを共有するみたいなパラダイムにすごい興味があって。

なので1年前はかなりパブリックチェーンを中心にリサーチをしていたんですけど、いまはもうちょっと企業としてどうデータ共有をするかって話と、それにとって最適なデータ構造ってなんだっけとか。

あとは実際に企業さんとどう巻き込んでいくかとかは、もしかしたらPoCあるあるのテーマかも知れないけど、それはそれでめっちゃ面白いなと思っていますね。

(つづく)

→つづきはこちら「パブリックチェーンとコンソーシアムチェーンの違い」LayerX CTO 榎本悠介氏インタビュー(2)

編集:竹田匡弘(あたらしい経済)

この記事の著者・インタビューイ

榎本悠介

東京大学工学部卒。大学時代の専攻は数学とコンピュータサイエンス。株式会社DeNAに新卒入社、2015年にGunosyに入社。両社にて複数の新規事業立ち上げをアーキテクトやリードエンジニアとして牽引。2017年よりブロックチェーンの研究開発チームをオーナーとして立ち上げ、後のLayerXの礎とする。ボンバーマンのプロプレイヤーとして地上波出演経験有。