日本から世界に通用するスタートアップを輩出する ソラナの「Startup Village Tokyo」を終えて

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ソラナの「Startup Village Tokyo」を終えて

2025年8月に2週間にわたり開催された「Startup Village Tokyo」。現在開催中のソラナ(Solana)最大のスタートアップコンペであるコロシアム主催の「Cypher Punk」で、入賞を目指す起業家に向けた育成プログラムだ。東京・豊洲で開催された「Startup Village Tokyo」には、「Cypher Punk」に挑戦する20以上の起業家らが集結した。

なお「Cypher Punk」の総額7,500万円。過去にはSTEPNやJitoといった有名プロジェクトを輩出し、勝てば一躍ソラナのエコシステムにおいて時の人になれるコロシアムの伝統的なコンペだ。今年開催された「Startup Village Tokyo」では、国内外から集まった起業家たちがソラナエコシステムでの事業開発に挑み、メンターやスポンサーと濃密な時間を過ごした。その現場から見えてきたのは「起業家とDegenの組み合わせの強さ」や「海外と日本のチームの行動特性の違い」、そして「勝つチームに共通するイテレーションの力」だった。

今回、「Startup Village Tokyo」の舞台裏を誰よりも近くで見ていたSuperteam Japanの256 hax氏に、学びと気づき、そして世界で勝てるスタートアップを日本から生み出すには何が必要なのかなど語ってもらった。

── コロシアムハッカソンとはどんなイベントですか?

ソラナ最大のスタートアップコンペであり、世界最大級のクリプトハッカソンです。直近では賞金総額が1.5億円以上。ソラナでグローバル進出を目指すなら、まずここを勝たなければ始まりません。

── 「Startup Village Tokyo」の特徴は?

会場は豊洲のTIS INTEC Group Innovation Hubで、2週間のプログラムでした。海外チームが多く、DeFiやプライバシー、バリデーター最適化など技術寄りのプロジェクトが目立ちました。また、初日と最終日の3分ピッチでは、参加者が多くのひとからフィードバックを受け(多いチームだと60人からフィードバックを受けた)、改善の度合いが大きな評価基準になりました。

── 前回のコロシアムハッカソン「BreakOut」の成績はどうでしたか?

日本からは7チームが入賞しました。世界で15カ国以上に展開するSuperteam全体でもトップ3に入る好成績です。APACでは1位でした。AIやゲーミングが強く、Crypto Fantasy League(CFL)やAIで売却タイミングを教えるDaiko、そしてSolana Mobileトラックで入賞したLootGoが印象的でした。

── 今回の「Startup Village」を通して一番の学びは何でしたか?

やっぱり起業家とDegenのチーミングですね。Degenとはハイリスク・ハイリターンを好む投資家のことで、これはクリプトらしい熱狂を生むためには、本当に大事だと思います。熱狂がないと、つまらない事業ができあがり、「Why crypto?」の疑問点がでてくることが多いです。Degenやトレーダーを最初からプロジェクトに巻き込むことで勝率が高まると考えています。実際に何人かのチームと会話すると「Degenを入れたい」という声が多かったです。

── 海外チームと日本チームにはどんな違いがありましたか?

海外チームはプレイブックや入賞ピッチをほとんど見ません。でも1on1で対面して「これをやって」と言うと、その場で「分かりました!」とすぐに実行します。

日本チームは逆に、ドキュメントを事前にきちんと読み込んで理解している。文化の差があるのかもしれないですね。また、その中で一番の違いは、パッションです。海外チームは感情をストレートに出すため、パッションが伝わりやすいです。

一方で、日本チームの強みは、論理的で分析力が高い点です。ただ、スタートダッシュが遅い。理解して納得しないと動けない傾向があり、それが海外チームとの差につながってしまう時はあります。

ですが、日本人は優秀と感じることも多かったです。

── 勝てるチームの条件は?

答えはイテレーションです。ピッチを作り、レビューを受け、修正し、またレビューを受ける。このサイクルを狂ったように回せるチームは必ず勝ちます。500回以上レビューを繰り返すチームもあって、1日で50件レビューを受けることもある。最初のアイデアが弱くても、イテレーションによって改善していきます。コロシアムハッカソンの開催期間は5週間と長期間である理由もここにあります。

── 印象的だったメンターは?

Gamingトラック入賞者のBurger Bob、決済インフラを構築するSphereのArnold、DAOの草創期を知るRealmsのメンバーであるDean、モバイル向けに特化したクリプト体験を実現するSolana MobileのChaseなどです。

また屈指のNFTコミュニティであるMonkeDAOや教育プラットフォームのGreed Academy、メタDEXアグリゲーターのTitan、レバレッジ対応の分散型取引所Flash Tradeチームも長時間現場に滞在して熱心にレビューしてくれました。

── 会場やTISチームについてはどうでしたか?

TISの会場は32階からの絶景で、設備も完璧でした。海外勢から「日本すごい」と声が上がり、日本のブランド力向上にもつながったと思います。TISチーム自身も「ハウスプラントをオンチェーンで取引可能にする」というユニークなアイデアで参加。アイデアのおもしろさと積極的にピッチレビューをもらっていたこともあり、メンターから高評価でした。

── 最後に、今後への展望を教えてください。

SuperTokyoや「Startup Village Tokyo」で「その場でスカウトして参加してもらう」というアプローチを試しましたが、あまりうまくいきませんでした。そこで、次は事前にスカウトをして育成し、半年〜1年のスパンで入賞を狙っていく、というチームのポートフォリオ化をしていきます。

また、Biz, Dev, Degenといった人材のプールもチーム組成の観点で重要なことがわかったため、CRM管理をしていきます。幸いにも、日本はスタートアップも多いため、これらの仕組みを整えれば、日本から入賞常連を生み出すことは十分可能です。

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あたらしい経済 編集部

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