ブロックチェーン社会と日本の宗教観の親和性

特集 天才エンジニア河崎純真には見えるブロックチェーンの未来

河崎純真

来たるべきブロックチェーン時代のおける日本のボジジョンは

—前回の記事で「ブロックチェーンや仮想通貨が広がって、国の枠を超えて多くのコミュニティが共存する未来」を河崎さんは幸せだとおっしゃいました。それでそんな未来に、日本はどういったポジションなのでしょうか?

日本はブロックチェーンの未来に重要なポジションを占める可能性があります。その理由は日本における「宗教観」です。この日本の宗教観こそ、そういった未来に重要になる概念です。

私はもともとクリスチャンなのですが今、僧の修行もしています。

私は仏教的観点からみたときに現在のグローバリズム、西洋の思想には限界があると考えています。

西洋思想の根幹は「我は存在している」という思想です。つまり、私という存在だけは疑いようがないという思想ですね。西洋の個人主義の根本的な思想です。その価値観は、これからの未来においては問題があります。すなわち社会や個人が孤立分断化していく根本的な原因なのです。

我が存在する、つまり自分が「ある」と思っているから、アイデンティティを必ず一つに保とうとするのです。「私はアメリカ人だ」、「メキシコ人のことは知らない」と、自他を分離して、どんどん分断していく価値観です。

そういう西洋思想で進むと何が起こるか、それはジャック・アタリが言う「超紛争」です。国家が増えて、マーケットによって国境がなくなってしまい、テロリズムが世界中で起こる。どんどん分断していって、もしくは核戦争に突入するかも……という世界観です。

今まではそれを上から押さえつけて、回避していました。なんとかパワーバランスを保っていた時代でした。でもこれからAIが進んで、シンギュラリティ的ポイントに近づいて分断が起こり始めると、核戦争が起きて地球は終わるかもしれません。

相対性のアイデンティティが未来を救う

そんな状況の中での唯一の回避策は「和の心」、つまり東洋的な宗教観だと思っています。日本的な宗教観は「存在」は「存在」しない、「我は存在しない」という考え方です。諸行無常で、諸法無我で、あらゆることは正しい「諸行無常、諸法無我」式の社会を作って行く価値観です。それは自他を分離しない「私は、あなたであり、あなたは私」と言う概念です。

アメリカ人や西洋人が言うような「私はアメリカ人である」「私はイギリス人だ」という1つアイデンティティしか持てない考え方では、みんなが違うという事になり、自他を分離、排斥することで「超紛争」に突入してしまう。

一方、アイデンティティは無数がある思想、私は「アメリカ人であり、日本人であり、中国人であり、韓国人であり、シンガポール人であり、地球人である」全部ひっくるめて「私は、あなたであり、あなたは私」と言う相対性のアイデンティティだとそれを防げるかもしれません。

日本がもしその根本的な文化感にあるブディズム的なマインドである「諸行無常、諸法無我」を理解した上で、ブロックチェーンの新しい技術をちゃんと活用していけば、日本の価値観というのは、非常に世界の中でも価値があります。

ある種ブロックチェーンでもたらされるであろう、本当の意味での世界共和国的な時代に、多様な価値観や文化を許容しながら、共に生きて行くということが重要になります。そしてそれを実行するには、仏教的思想、東洋の思想がいちばんイケてると思っています。

そして「共感」の時代になる

—さまざまな未来のお話を聞きました。最後に私たちの未来を生き抜くために必要なものは何でしょうか?

今までは「信用」があって、コミュニティが成り立っていました。国家などがまさにそうです。

これから多数のコインが生まれていくと思いますが、ブロックチェーンを使ってしまえば、国が発行しようが、ユーチューバーが発行しようが、アイドルが発行しようが、誰がそのコインを発行しようと基本的にはその信用度は全部同じです。もちろん採用する細かい技術の違いがあっても、基本のアルゴリズムが一緒ですから。

そうなって最後に残るのは「共感」の違いだと思います。全部同じアーキテクチャーだったら自分は何に「共感」するかという違いのみで、人々はコインや経済圏を選ぶようになります。

そしてさまざまな経済圏が無数に出来た時に、日本の和の心が、未来の人類のアイデンティティの見本になるかもしれません。

私はこれからの「共感」の時代を、和の心を持って乗り越えて行こうと思っています。

(おわり)

→この特集「天才エンジニア河崎純真には見えるブロックチェーンの未来」記事一覧はこちら

編集:設楽悠介(幻冬舎)

この記事の著者

河崎純真

GIFTED AGENT株式会社 代表取締役社長
1991年生まれ。子供時代に、母親がアスペルガー症候群の診断を受け、障害者だからという理由で才能を活かす事が出来ない社会に問題意識を持つ。高校同等程度認定試験を中学卒業と同時に取得。 中学卒業後からエンジニアの知識を活かして働き始めた。
FXや株の自動売買システムや、物流ポータルサイトの開発運用、医療法人でのクラウド電子カルテの開発などを行った。17歳の時にTwitterの魅力に触れ、Q&AなうというリアルタイムQ&Aサービスのベンチャーに参画。18歳の時にOKWaveへ3000万円で事業売却を行った。
慶應義塾大学に入学後、創業メンバーとして1800万人のユーザーを持つ「Tokyo Otaku Mode」を代表とした複数のITベンチャーの立ち上げ、事業売却、役員業務等に携わる。現在は「GIFTED AGENT株式会社」「Common OS」などの事業を手掛ける。

GIFTED AGENT株式会社 代表取締役社長
1991年生まれ。子供時代に、母親がアスペルガー症候群の診断を受け、障害者だからという理由で才能を活かす事が出来ない社会に問題意識を持つ。高校同等程度認定試験を中学卒業と同時に取得。 中学卒業後からエンジニアの知識を活かして働き始めた。
FXや株の自動売買システムや、物流ポータルサイトの開発運用、医療法人でのクラウド電子カルテの開発などを行った。17歳の時にTwitterの魅力に触れ、Q&AなうというリアルタイムQ&Aサービスのベンチャーに参画。18歳の時にOKWaveへ3000万円で事業売却を行った。
慶應義塾大学に入学後、創業メンバーとして1800万人のユーザーを持つ「Tokyo Otaku Mode」を代表とした複数のITベンチャーの立ち上げ、事業売却、役員業務等に携わる。現在は「GIFTED AGENT株式会社」「Common OS」などの事業を手掛ける。

この特集のその他の記事

「馬から車、手紙からメール、銀行や国からブロックチェーン」天才エンジニアが語るブロックチェーンの革新性/河崎純真

ブロックチェーンに出会う前は、50年かけないと今の社会システムは変えられないと思っていたんですよね。国民国家資本主義社会システムの中でどうやって新しい仕組みを作ろうかと思考錯していた。でもブロックチェーンに触れて、このテクノロジーで新しい社会システムを作れると確信しました。