「馬から車、手紙からメール、銀行や国からブロックチェーン」天才エンジニアが語るブロックチェーンの革新性/河崎純真

特集 天才エンジニア河崎純真には見えるブロックチェーンの未来

河崎純真

河崎純真とプログラミング

—河崎さんがプログラミングを始めたきっかけは?

中学生の頃、私はゲームが大好きでした。それで家にあったパソコンで勉強しながら簡単なゲームを作ったのがプログラミング始めたきっかけです。当時はゲームを作るのもプレイするのも大好きでした。あとハッカーにも格好良いなと憧れていました(笑)。だからプログラミングに興味を持ちました。

当時はほとんどの時間をオンラインゲームに投下したと思います。そしてどうしても合わなくて学校にも行かなくなり、家でずっとゲームしたり、ゲーム作ったりして遊んでいました。そこからWEBの仕組みとプログラミングを深く勉強していきました。

—学校のどこが合わなかったですか?

学校のルールというか、考え方ですね。勉強は好きだったのですがADHDだったから授業中ずっと座ることが不可能でした。さらに最初に教科書をもらって、読み終わって「もういいじゃん」と思っていた。

なんで1年もかけてこれを学ぶのかなあと感じていました、読んで理解すればいいじゃんと。だから授業時間が苦痛でした。親も私が学校に行きたくないなら、行かなくていいという感じでしたね。

15歳で中学を卒業したあとは、高校に行かずに働き始めました。でも当時勉強自体はそんなに嫌いではなかったので、中学の卒業と当時に高校同等程度認定試験を取得して高校生活を1日で終わらす、っていう感じでした(笑)。

その頃からエンジニアの知識を活かして働き始めました。FXや株の自動売買システムや、物流ポータルサイトの開発運用、医療法人でのクラウド電子カルテの開発などをさまざまなサービスを手がけました。

そして17歳の時に「Q&Aなう」というリアルタイムQ&Aサービスのベンチャーにジョインして、翌年「OKWave」へ事業売却しました。大学に入学後も、創業メンバーとして「Tokyo Otaku Mode」などの複数のITベンチャーの立ち上げ、事業売却、役員業務等に携わってきました。

この当時から現在にかけて、エンジニアとしておそらく100個ぐらいのプロジェクトに関わってきたと思います。その頃は寝ている以外はもう全てコードを書いていました。私は、睡眠中には脳がその1日の情報を整理してくれていると思っています。だから1日18時間働くと、残りの6時間は情報を整理しているだけだから、24時間働けていると思っていました(笑)。

そして2016年に「GIFTED ACADEMY」を開校しました。「GIFTED ACADEMY」は大人の発達障害者を抱える人にプログラミングやデザインの教育を提供する教育サービスです。このサービスを始めたのは、前述の学校に行けなかった中学の頃の自分の体験が元になっています。さらに現在、ブロックチェーンを用いた独自の経済圏を誰でも作れるサービス「Commons OS」というプロジェクトもやっています。

ブロックチェーンには次元がひとつ違う革新さがあった

—そもそもブロックチェーンにどのタイミングで出会われたのでしょうか。

もともとブロックチェーン自体は結構前から話に聞いていたのですが、マウントゴックスの後ぐらいに、色々な技術を触ってみないと分からないと思って自分で実装してみて「やべえじゃん、これはすごい」と感動しました。

エンジニアとしてブロックチェーンを触って、今までのテクノロジーとは次元がひとつ違う「革新さ」を感じました。もちろん技術の要素はそれまでのプログラムと大きくは変わらないんですけれども、それによって実現される世界のレベルが、次元がひとつ違うなというのを強く感じました。

当時私は事業でもう少し社会にアプローチしたいと思って「GIFTED ACADEMY」を始めていました。その時は「50年かけて社会を変えよう」と思っていたのです。ところが当時ブロックチェーンに触れて、これを使えば理想とする社会の実現がぐっと早まる、と感じました。

ブロックチェーンに出会う前は、50年かけないと今の社会システは変えられないと思っていたのですよね。国民国家・資本主義社会システムの中でどうやって新しい仕組みを作ろうかと試行錯誤していた。しかしブロックチェーンに触れて、このテクノロジーで新しい社会システムを作れると確信しました。そこからブロックチェーンにコミットし始めたました。

ブロックチェーンは既存の「信用」を陳腐化したもの

—河崎さんの感じた、ブロックチェーンの革新性について教えてください。

ブロックチェーンは革新的です。「馬から車、手紙からメール、銀行や国からブロックチェーン」と私はよく言っています。みんなが現在「昔の移動手段は車ではなくて馬だったんだ」と驚くように、10年後20年後の人々はきっとブロックチェーンではなくて、その仕組みは国とか銀行が担っていたんだ、と驚くのではないかと思っています。

車は「移動」を陳腐化したもので、メールは「コミュニケーション」を陳腐化したものです。そしてブロックチェーンは「信用」を陳腐化したものなのです。現代は「信用」に価値がありますが、これからのブロックチェーンの時代は「信用」の価値はなくなります。

不正や改ざんのない「信用」というのは、あって当たり前の未来がくる。その上でこれからの時代は「共感」の時代がやってきます。「信用」はあって当たり前で、共感が大切になる。そういう世界を作れる可能性を秘めているのが、ブロックチェーンが革新的なところですね。

「この土地は私のものです」をどう信じさせるか。河崎純真がブロックチェーンを分かりやすく解説

—ブロックチェーンは「信用」を陳腐化する技術だとおっしゃっていました。その解釈を理解するためにも、一度河崎さんなりにブロックチェーンの仕組みを説明していただけませんか?

いいでしょう。例え話で説明させてください。

例えば「ここの土地、河崎純真のものです。実はこれが証明です」と言ったら信じますか?(インタビュー中の部屋の地面を指差しながら、もう一つの手で紙切れ一枚を持って)

—信じられないですね。

まあ、信じられないですよね。じゃあ、何だったら信じますか? 

—例えば今お持ちのその紙が、土地の証明書とかなら信じると思います。

じゃあこの紙に今「土地の証明書」って書きます、そうしたら信じますか?

いやそれでは信じられないですよ、手書きですし。偽物ではなくて、ちゃんと役所が出したものなら信じますけどね。

では例えば、この証明書はモザンビーク政府が発行したものだったらいかがでしょうか。住所は渋谷区ですが(笑)。それも信じられないですよね(笑)。逆にこれが日本政府が発行したものだと皆さんは、信じるかもしれません。なぜなら多くの人は現時点で日本政府を「信頼」しているからです。

つまり「信頼」があれば「信用」はいらないのです。「ここは私の土地だ」というときに「信じられない」、そうなった時にそれを担保するものが「信用」です。例えば日本では土地は国家が担保しています、だから国家が「信頼」できれば、「信用」出来る。

有史以来、人類の歴史上、「信用」の仕組みは全部それでした。どんな社会時代においても中央集権、管理権威があって、そこの下にある。中央が「この土地は本当にこの人のものなのか?」というのを証明しなくてはいけない。それがあれば「信用」出来る。

ただし、もうひとつだけ「この土地は私のものだ」と証明する方法があるのです。この場に多くの人がいるとしましょう。私の他にAさんやBさんがいるとします。

そのうえで「この土地は私のものです。そうですよね、Aさん?」と私が言って、Aさんが「そうです」と答えたとする。つづいて隣にいるBさんもこの土地は河崎のものだと言う、私の周りにいる人が全員「この土地は河崎純真のものだ」と答えたとする。そうしたら信じますか?

—あえて、まだ信じられないと言ってよろしいでしょうか(笑)。

うん確かに。私の周りのメンバーだけだと、まだ信用出来ないでしょう。私が裏でAさんたちを買収しているかもしれないですからね。じゃあ、日本中のあなた以外の全員が「この土地は河崎のもの」って言っていたら、信じますか?

—信じざるをえないですね。みんながそう言うのであれば、事実上そのはずですよね。

いかがですか? 中央集権的な政府から証明書を発行されているよりも、今の表現の方が信頼性があるような気がしませんか? 紙切れ1枚で証明されているよりも。

これがブロックチェーンです。みんなで信用を担保しようというのがブロックチェーン。みんながそう言うのなら「そうだ」というのがブロックチェーン。

今の中央集権の問題点は、不正改ざんが出来ること、障害に弱い、そしてコストが高い、ということです。誰かが中央で管理していたら、公文書偽造ができたりするわけですよね。一方ブロックチェーンは不正がないです、忖度されて書き換えられることもない(笑)。

消えない通貨がビットコイン

あと私は仮想通貨に個人資産の90パーセント突っ込んでいるんですけれども、その理由は非常にシンプル、つまり安全だからです。

あくまで例えばの話ですが、日本円は日本にミサイルが落ちたら消えますよね。しかしそうなってもビットコインなどの仮想通貨は消えません。今、世界でいちばん安全な資産というのは、仮想通貨ではないかと思っているので、ほとんどの資産を仮想通貨にしています。極論、ブロックチェーンはPCが世界で1台だけにならないと止まらない。

安全だから、これから先みんなもっとブロックチェーンを使い出します。まず資本家だったらそうするでしょう。そうなると不動産などの資産も全部ブロックチェーンでの管理がはじまるはずです。

国が崩壊しても消えないというイノベーションだから、みんながそれを使い始めて、多くのことがブロックチェーンに管理され始めると思います。そうなると国の意味は小さくなる。

ブロックチェーンは履歴が残るので不正改ざんがない

「この土地は、みんなが認めたから私の土地だという話」につづいて、もう一つブロックチェーンにとって大切な「ヒストリー」の話をします。

ブロックチェーンは土地の権利が生まれた瞬間から、誰の手に渡ったかの取引歴をみんなが見られる仕組みです。そしてその「ヒストリー」の中で最後に受け取った人にしか、この鍵を開けることが出来ないようになっています。

そうなればさらに、この人が持っていることは確かだということになる。その取引歴を全員が持っているから、それを結合すれば、ここの取引歴とここの取引歴はいっしょだ、ということで、みんなで認め合うことが出来る。

誰かが交換すると、全員の取引歴が上書きされるから、常に最新の同期した取引歴をみんなが持つ。誰かひとりが書き換えたとしても、ひとりだけ違う、ということになるから、不正、改ざんは出来ない、というのがブロックチェーンの仕組みです。

→第2回につづく

→この特集「天才エンジニア河崎純真には見えるブロックチェーンの未来」記事一覧はこちら

(編集:設楽悠介)

この記事の著者

河崎純真

GIFTED AGENT株式会社 代表取締役社長
1991年生まれ。子供時代に、母親がアスペルガー症候群の診断を受け、障害者だからという理由で才能を活かす事が出来ない社会に問題意識を持つ。高校同等程度認定試験を中学卒業と同時に取得。 中学卒業後からエンジニアの知識を活かして働き始めた。
FXや株の自動売買システムや、物流ポータルサイトの開発運用、医療法人でのクラウド電子カルテの開発などを行った。17歳の時にTwitterの魅力に触れ、Q&AなうというリアルタイムQ&Aサービスのベンチャーに参画。18歳の時にOKWaveへ3000万円で事業売却を行った。
慶應義塾大学に入学後、創業メンバーとして1800万人のユーザーを持つ「Tokyo Otaku Mode」を代表とした複数のITベンチャーの立ち上げ、事業売却、役員業務等に携わる。現在は「GIFTED AGENT株式会社」「Common OS」などの事業を手掛ける。

GIFTED AGENT株式会社 代表取締役社長
1991年生まれ。子供時代に、母親がアスペルガー症候群の診断を受け、障害者だからという理由で才能を活かす事が出来ない社会に問題意識を持つ。高校同等程度認定試験を中学卒業と同時に取得。 中学卒業後からエンジニアの知識を活かして働き始めた。
FXや株の自動売買システムや、物流ポータルサイトの開発運用、医療法人でのクラウド電子カルテの開発などを行った。17歳の時にTwitterの魅力に触れ、Q&AなうというリアルタイムQ&Aサービスのベンチャーに参画。18歳の時にOKWaveへ3000万円で事業売却を行った。
慶應義塾大学に入学後、創業メンバーとして1800万人のユーザーを持つ「Tokyo Otaku Mode」を代表とした複数のITベンチャーの立ち上げ、事業売却、役員業務等に携わる。現在は「GIFTED AGENT株式会社」「Common OS」などの事業を手掛ける。

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ブロックチェーンに出会う前は、50年かけないと今の社会システムは変えられないと思っていたんですよね。国民国家資本主義社会システムの中でどうやって新しい仕組みを作ろうかと思考錯していた。でもブロックチェーンに触れて、このテクノロジーで新しい社会システムを作れると確信しました。