Alpha Tokenのお二人について
Wallace Lynch(左)
ATK Technologies / Founder and CEO
米国、中国にてTV、ラジオプロデューサーとしてキャリアを積む。その後、米国コロンビア大学にて経済学の博士号を取得後、政府機関の大学で経済学を教える。シリコンバレー在住時には個人のスキルをマッチングするプラットフォーム、 HSHubを創業。また、SVInsightという中国人ユーザー向けのテックメディアを立ち上げる。現在では400万人の会員数に。アントレープレナーの育成支援等の活動に従事したり、VCファンドのVPも務める。2017年にこれまでに経験とノウハウを活かし、ATK Technoogiesを創業し、現在にいたる。
野入賢吾(右)
ATK Technologies / Managing Director
16歳の時に父親の仕事の関係で米国に移住。高校、大学時代の6年間をアメリカWest Virginia州で過ごす。
PASONA社のオレンジカウンティ、東京本社、サンフランシスコ拠点にて、日系企業の米国進出及び、現地での人事含む管理部門のサポートに従事 。東京本社勤務時は、企業のグローバル化を採用面で支援。2018年6月より、ATK Technologiesの日本拠点立ち上げをリード。
デジタルコンテンツを取り巻く「価値の蒸発」を解決するプロジェクトAlpha Token
Alpha Tokenを一言で表すと「デジタルコンテンツのための仮想通貨」です。トークンが使用されるプラットフォームのAlpha Browserと合わせて、私たちは「才能やクリエイティビティ、そしてユーザーの消費時間がしっかりと報われるエコシステム」を作ろうとしています。
我々はオンラインのコンテンツ業界において「価値の蒸発(Evaporation of Value)」という非常に大きな課題を感じています。クリエイターによるコンテンツの創作や、ユーザーによるコンテンツの消費のために使われる時間には、常に価値があります。しかし現状ではその価値をうまく活かしきれていません。何千億円という規模の価値が毎年蒸発していると私たちは考えています。
例えば、みなさんはオンラインで何か記事を読んだり動画を見たりするときに、その前に広告を見なければいけない時がありますよね。その際みなさんが使った時間や注意(アテンション)にも価値があり、広告を見ることでその価値を広告主に提供しているのにも関わらず、みなさんはそれに対して報酬をもらえていません。広告を見ても何のお金ももらえませんからね。
ユーザーの「時間」と「注意」という価値が、どこにも可視化されないまま蒸発してしまっているわけです。
では、みなさんが広告出稿したい時はどうするでしょうか。多くのユーザーにクリックしてもらうためにGoogleやFacebookに出稿しますよね。しかし、広告主が持っている予算の中から、ユーザーにまで届くお金はありません。全部それらのサードパーティの媒体に吸い取られてしまいます。本来ユーザーにクリックして欲しければユーザーにお金を払ってクリックしてもらうべきではないでしょうか。
またクリエイターを抱える出版社などは、どうでしょうか。毎年たくさんの企画の持ち込みやコンテストへの応募があるはずですが、実際に出版までこぎつけられるクリエイターはほんの数%です。
残りの大多数のクリエイターはそこまでたどり着けません。では、彼らのコンテンツには価値がないのでしょうか? そういうわけではありませんよね。創作物の多くが日の目を見ないまま、消えていってしまうのです。
このように、コンテンツ業界を取り巻く「ユーザー」「広告主」「クリエイター」のそれぞれに「価値の蒸発」の問題は潜んでいます。
それを解決するためにAlpha Tokenがあり、Alpha Browserというプロダクトがあります。
Alpha BrowserはChromeやFirefoxと並ぶようなWebブラウザで、ブロックチェーン上に構築されているという点でユニークです。
Alpha Browser上では、ユーザーがコンテンツとは関係ない広告を見る際にはその時間に応じてトークンがもらえる仕組みになっています。また、その広告を出す広告主はAlpha Browserに手数料を全く払うことなく、直接ユーザーに広告費を支払うことで広告を出稿します。
さらに、クリエイターは自分の創作物に対する著作権を保ったまま、そのブラウザーに投稿することができ、独自のアルゴリズム(Alpha Value)によって順位づけされてユーザーに表示されます。クリエイターは投稿するコンテンツを有料にすることもできます。有料コンテンツによる売り上げはプラットフォーマー(Alpha Browser)に仲介料を取られずに100%手に入れることができます。
これによって、従来は蒸発していた価値がトークンとしてコンテンツ経済に戻ってきます。
プロデューサー、教授、そして起業家へ
私は大学の頃からメディア業界に興味がありました。中国伝媒大学でマスメディアを専攻しており、卒業後はアメリカでラジオやテレビのプロデューサーを数年間務めました。
その後コロンビア大学で労働経済学の修士と博士を修得し、そのタイミングで「人類の価値」というものに興味を持ち始めました。人類が他の動物と違い、人類が人類たる所以は「モノを作り出し、それを価値と認識できる」ということだと思っています。
その価値が蒸発してしまっていることはやはり大きな課題で、大学院以来ずっと「価値の蒸発」の課題をどうにかできないかと取り組んできました。11年前に初めて起業して作ったプロダクト「HShub」は中間業者を排除してP2Pで取引が行えるeコマース事業でした。現在に至るまで、2社を創業し4つのプロダクトを作っては売却してきました。
そして数年前に仮想通貨の基盤技術としてのブロックチェーンに触れて、これはまさに「価値の蒸発」を解決するポテンシャルがある技術だと思い、Alpha Tokenの構想を練り始めました。
また、Alpha Token構想の背景には、近年のテクノロジーの発達による「人に残される仕事」というのも大きくあります。無人レジや倉庫ロボットに見られるように、テクノロジーの発達によって、従来は人間が対応していた業務がAIやロボットに置き換わられつつあります。そんな中、「人間に残る仕事とは何か」というトピックはよく議論されるテーマです。
確実に残る仕事として1番わかりやすいのは、アートや音楽、本、映画などのクリエイティブのエリアです。このようなコンテンツは人間とダイレクトに関係して創り上げられるものなので、テクノロジーに置き換えられることはほぼ不可能に近いです。
しかし、そういったモノを創る職業であるクリエイターも近年、著作権問題により、職業として危険にさらされています。
だからこそ我々はテクノロジーを駆使して彼らの職業を、そして各国の文化を守っていきたいと思っています。