BERA(ベラ)とは? Berachainの仕組み、今後の日本展開を訊く
暗号資産取引所SBI VCトレードの代表取締役社長 近藤智彦氏が、暗号資産/ブロックチェーン業界を牽引するさまざまなプレイヤー/有識者と対談する連載企画。今回は近藤氏と、SBI VCトレードにて3月25日にトークン上場したブロックチェーン「Berachain(ベラチェーン)」のBerachain Foundation Head of APACの Ella Qiang氏と、APAC LeadのCHANG,Alex氏との鼎談をお届けする。
SBI VC 近藤智彦 × Berachain Ella Qiang / CHANG,Alex
近藤:まずBerachainとはどのようなブロックチェーン/プロジェクトなのか、お二人から解説いただきたいです。
Qiang:Berachainは一般的なブロックチェーンのようにホワイトペーパーを起点として立ち上がったプロジェクトではなく、その起源は2021年8月に登場したNFTプロジェクト「Bong Bears」にあります。
このNFTはリベース機能を備えた独自の設計でユーザーの注目を集め、そのコミュニティの中で、既存のProof of Stake(PoS)がそのチェーンの成長において必ずしも十分に機能していないのではないか、という問題意識が生まれました。こうした議論を背景に、流動性を前提とした新しいコンセンサスモデル「Proof of Liquidity(PoL)」が構想され、そこからBerachainは本格的なレイヤー1プロジェクトへと発展しています。約4,200万ドルの資金調達を経て、2025年2月6日にメインネットがローンチされました。
このBerachainの中核となるのが、独自のコンセンサスメカニズムであるProof of Liquidity(PoL)です。PoLは、ネットワークのセキュリティと流動性供給を一体として設計している点に特徴があり、ユーザーは単にトークンを保有・ステーキングするだけでなく、流動性提供などの形でネットワークに貢献し、その対価として報酬を得ることができます。
これにより、ユーザー・アプリケーション・バリデーターのインセンティブが揃い、エコシステム全体として流動性とネットワークの成長が相互に強化される構造が実現されています。短期的な利回りに依存するのではなく、長期的に持続可能なエコシステムの構築を志向した設計といえます。
Alex:また、BerachainはEthereum Virtual Machine(EVM)と完全に同等の実行環境を持つ、いわゆる「EVM-identical」なレイヤー1チェーンでもあります。Ethereum(イーサリアム)上で動作するスマートコントラクトのバイトコードをそのままBerachain上でも実行できるため、既存の開発ツールやインフラをそのまま活用することが可能です。さらに、Ethereumの将来的なアップデートにもスムーズに追従できる設計となっており、開発者にとっては移植性と拡張性の両面で扱いやすい環境が提供されています。
近藤:BerachainのProof of Liquidty(PoL)という仕組みは非常にユニークですよね。一般的なステーキングと異なり、ブロックチェーンへの実需をもたらすことで供給される「BERA」が調整される仕組みとなっているため、より健全な成長を促していきやすくなっていると思います。
また仕組みだけでなく、Berachainは元々がNFTのコミュニティから誕生しているという点も面白いですよね。日本ではNFTが暗号資産業界の中でNFT独自の生態圏を作っていますが、本来NFTはオンチェーンの中の1つのファクターであり分散型のエコシステムなどとも相性が良いものです。
コミュニティ文化を根幹に持つ暗号資産は珍しく、キャラクターやIP文化と親和性の高い日本で成長していく価値のある暗号資産だと思っています。
Berachainの3つのトークン
近藤:今回SBI VCトレードで取り扱わせていただいた「BERA」ですが、Berachainにはそれに加えて合計3つのトークンがあると思います。「BERA」も含め、それらについて詳しく教えてください。
Qiang:Berachainでは、独自の「Proof of Liquidity(PoL)」の仕組みと連動する形で、ガス(手数料)、ガバナンス、ステーブル価値といった役割をそれぞれ分離した「トリトークンモデル(3トークン構造)」を採用しています。
一般的なブロックチェーンでは、ETHのように1つのトークンが複数の役割を担いますが、Berachainでは機能ごとにトークンを分けることで、例えば「ステーキング」と「流動性供給」のような異なるインセンティブが競合せず、エコシステム全体として効率的に機能する設計となっています。
まず、近藤さんにも触れていただいた「BERA」は、Berachainの基軸となるネイティブトークンであり、ユーザーが保有・取引・利用する中心的な資産です。ネットワーク上のトランザクション手数料はすべて「BERA」で支払われ、その一部はバーンされるため、トークンにはデフレ圧力が働く仕組みとなっています。
また、バリデーターは「BERA」をステーキングすることでノードを稼働させ、ブロックの生成に参加します。さらに、PoLのアップデート(PoL V2)以降は、発行される報酬の一部が「BERA」の利回りモジュールに組み込まれており、「BERA」自体がステーキングを通じて利回りを生む資産として機能する設計となっています。
次に、「BGT」はインフレ型の報酬トークンかつガバナンストークンであり、ネットワーク参加者へのインセンティブとして機能します。バリデーターがブロックを生成することで発行され、その報酬は主に流動性提供者などネットワークに貢献する参加者に分配されます。特徴的なのは、「BGT」は設計上、譲渡や取引ができない点であり、これにより実際にネットワークに貢献している参加者のみがガバナンスに関与できる仕組みになっています。
一方で、「BGT」は1:1で「BERA」に交換(バーン)することが可能であるほか、バリデーターに対して「ブースト」として割り当てることで、どのアプリケーションに報酬配分(エミッション)を行うかの意思決定にも関与します。この仕組みにより、流動性提供と報酬配分が循環する、いわゆるPoLの好循環が形成されます。
最後に、「HONEY」はBerachainのネイティブステーブルコインであり、米ドルに緩やかに連動する設計となっています。完全担保型のモデルを採用しており、USDCやUSDT、USDeといった指定された資産を担保として預け入れることで発行(ミント)することができます。
「HONEY」はエコシステム内での決済や取引において安定した価値の媒介として機能するほか、Berachain上においてステーブルコインの利回り機会の中心的な存在となっています。
このように、「BERA」(価値とガス)、「BGT」(インセンティブとガバナンス)、「HONEY」(安定的な価値)の3つを明確に分離することで、それぞれの役割が最適化され、ネットワーク全体の成長と流動性が持続的に強化される設計となっています。
近藤:これまでお話しいただいた通り、Berachainは新しいコンセンサスアルゴリズムを生み出してセキュリティや流動性などのチェーンのエコシステムを最初から一体化させているプロジェクトですよね。今回そういったプロジェクトのトークンを日本でも取り扱えることを本当に嬉しく思っています。
Berachainの優位性
近藤:Berachainの他のL1/L2ブロックチェーンと比較したときの強みについて教えてください。
Alex:Berachainの最大の特徴は、ユーザー・アプリケーション・バリデーターといったすべての参加者のインセンティブが、ネットワークレベルで一貫して整合するよう設計されている点にあります。一般的なブロックチェーンでは、セキュリティを担うステーカーやバリデーターと、実際に経済活動を行うユーザーやアプリケーションとの間に明確なつながりがないことが多く、それぞれが別の動機で動いています。
一方でBerachainでは、「流動性の増加」「利用の拡大」「価値の創出」という同じ方向に、すべての参加者のインセンティブが向くように設計されており、この点が大きな競争優位性となっています。
この設計は、ブロックチェーンの進化の流れの中で捉えるとより分かりやすく、Berachainは「次世代のブロックチェーン(いわばBlockchain 3.0)」と位置付けられます。
Bitcoin(ビットコイン)に代表されるProof of Work(PoW)は、計算資源(エネルギー)を使ってセキュリティを担保する仕組みであり、EthereumのProof of Stake(PoS)は、トークンをステーキングすることで資本をリスクにさらしながらネットワークを支える構造です。いずれも「正しさの検証」にリソースを費やす設計であるのに対し、BerachainのProof of Liquidity(PoL)は、セキュリティコストを抑えつつ、そのリソースをエコシステムの成長に振り向ける設計となっています。
その結果として、ユーザーにとってはより高い利回りが期待でき、アプリケーション側にとってはユーザー獲得コストの低減につながります。また、ネットワークのセキュリティを担う主体と経済活動を行う主体の利害が一致するため、エコシステム全体として効率的かつ持続的な成長が可能になります。
さらにBerachainは、現在の暗号資産業界の変化を踏まえ、「実際の収益」や「実体のある価値創出」を重視している点も特徴です。「Berachain Builds Businesses」という考え方のもと、実際にキャッシュフローを生む事業がネットワーク上で展開されることを重視しており、これらの事業は従来よりも制約の少ない形で、グローバルに24時間アクセス可能なユーザー基盤へリーチすることができます。
こうした実需ベースの価値創出が積み上がることで、その価値は「BERA」トークン保有者やネットワーク全体にも還元される構造となっており、成熟しつつある暗号資産市場において、より持続的な成長モデルを志向している点もBerachainの強みといえます。
BerachainエコシステムのDApps
近藤:Berachainのエコシステムには、どのようなサービスがありますか?
Qiang:Berachainのエコシステムには、従来にはない収益機会やユースケースを提供するネイティブアプリケーションが複数存在しています。全体としても、これらのアプリケーションは年間ベースで約6,200万ドル規模の収益創出が見込まれており、単なるトークン経済にとどまらず、実際の収益を伴うエコシステムとしての成長が期待されています。
代表的な例の一つが、レンディングプロトコルである「BEND」です。BENDはBerachainにおける中核的なクレジットレイヤーとして機能しており、Proof of Liquidity(PoL)と統合された設計が特徴です。
資産を提供するユーザーは、「HONEY」などのトークンを預け入れることで、市場平均を上回る利回りに加えて「BGT」報酬を得ることができ、単なる保有資産を流動性およびネットワークセキュリティの強化に活用することが可能です。
一方、借り手は「wETH」や「wBERA」、「wBTC」、ステーブルコインなどを担保として「HONEY」を借り入れることができ、資本効率の高い戦略(いわゆるルーピングなど)を実行できます。これにより、Berachain全体をハブとしての機能を強化する役割を担っています(参考APY:約7.23%、2026年3月時点)。
Alex:もう一つの特徴的な事例が「Liquid Royalty」です。このプロジェクトは、Amazonのベストセラー商品のロイヤリティ収益をトークン化することで、従来はアクセスが難しかったEコマースの収益機会を、誰でもグローバルかつ24時間アクセス可能な形で提供しています。
安定した実収益(Amazonでの販売収益)をベースに、その収益がトークン保有者へ日次で分配される仕組みとなっており、従来のDeFiとは異なる「実需に裏付けられたリターン」を提供する点が特徴です。これにより、一般ユーザーでもEコマース事業の安定的な収益に間接的にアクセスできる、新たな投資機会が生まれています(シニアトランシェの想定利回り:約13%、2026年3月時点)。
このようにBerachainのエコシステムでは、単なる金融プロトコルにとどまらず、実際の収益を生むビジネスと結びついたDAppsが展開されており、「流動性」と「実需」を両立させた新しい形が構築されつつあります。
Berachainから見た、日本市場の可能性
近藤:BerachainのApac Leadとして、日本の市場をどのように捉えていますか?
Qiang:日本市場は、暗号資産に関する規制整備の面でアジアの中でも先行している市場と捉えています。特にステーブルコイン分野においては制度面の明確性があり、円建てステーブルコインのような新しい取り組みも実現可能な環境が整いつつあります。
こうした基盤に加え、SBIホールディングスさんのような金融機関が暗号資産領域で積極的に取り組んでいる点も、日本市場の大きな特徴です。Berachainとしても、機関投資家の参入やRWA(現実資産)との連携を重視しているため、日本のこうした動きは非常に親和性が高いと考えています。
Alex:また、市場環境だけでなく、カルチャー面での相性も感じています。Berachainはコミュニティ主導の遊び心ある文化と、堅実な技術開発の両面を持つプロジェクトですが、日本ではクリエイティブな表現と技術力の双方が評価される傾向があり、このバランスが比較的受け入れられやすいと感じています。実際に日本のコミュニティからの反応も良く、今後の展開において重要な市場の一つと位置付けています。
近藤:そう評価いただいていて嬉しいです。まずは上場時にキャッシュバックキャンペーンなどを実施して、「BERA」を盛り上げていければと思いますし、その先も連携していきたいと考えています。
Qiang:私たちもSBIグループおよびSBI VCトレードさんとは、今後も中長期的に連携を深めていきたいと考えています。まず短期的には、「BERA」の取扱いを通じて、SBIが信頼性の高い規制下のゲートウェイとしてBerachainおよびそのエコシステムへのアクセスを提供する役割に大きな期待を寄せています。
一方で、期待しているのは単なる上場にとどまりません。SBIグループは銀行・証券・保険といった幅広い金融領域に強固な基盤を持っており、こうした総合的な金融機能との連携は、暗号資産専業のプレイヤーでは実現が難しい領域です。これらのアセットとBerachainの仕組みを掛け合わせることで、より実用性の高いユースケースや新たな事業機会が生まれる可能性があると考えています。
今後、日本において暗号資産の活用が制度面・市場面の両方でさらに進展していく中で、その新しい金融の枠組みの中核にBerachainが位置づけられるよう、SBIグループとの連携を通じて取り組んでいきたいと考えています。
BerachainとSBI VCトレードの今後の展開
近藤:最後にBerachainとして、今後のアップデートやお知らせがあれば教えてください。
Qiang:Berachainはこれまで「プロジェクトを生み出す」ことに加えて、既存の企業と協働しながらエコシステムを広げていくフェーズに移行しつつあります。スタートアップの支援に加え、より大規模な企業とのパートナーシップも進めており、Berachainが重視する相互にメリットのある関係構築(いわゆるWin-Winの関係)を前提とした取り組みが進行中です。こうした大企業との連携は実現までに時間を要しますが、今後数か月のうちにいくつか発表できる見込みです。
また、プロダクト面では、トランザクションにおける「事前承認(pre-confirmation)」機能の導入を進めています。このアップデートにより、取引の待ち時間(レイテンシー)が大きく低減され、よりリアルタイム性が求められるアプリケーションの開発が可能になります。結果として、ユーザー体験の向上とともに、これまで以上に幅広いユースケースへの対応が期待されます。
今後はこうした最新の取り組みを日本のユーザーにも積極的に発信していくとともに、単なる情報提供にとどまらず、実際に参加・活用できる形で関与していただける機会もあわせて提供していきたいと考えています。
Alex:SBI VCトレードさんとしてはどのような戦略でこれから日本市場の拡大に注力していくのでしょうか?
近藤:当社は、4月1日にビットポイントジャパンと合併し、国内ナンバーワンの暗号資産交換所を目指します。
また、ステーブルコインの流通・取引サービスを提供できる電子決済手段等取引業者のライセンスを国内で唯一保有する優位性と、総合金融グループであるSBIグループを背景に持つ強みを活かし、既存金融の生態系とデジタルスペースの生態系をつなげる役割を担ってまいります。
さらに、貸金業を取得し、暗号資産を担保にしたローンの取り扱いを開始し、事業の幅を拡大します。
また直近では、USDCのレンディングサービスを国内初で開始いたしました。こちらのサービスでは、年率5%程度を予定しておりますので、一般的な米ドルの外貨預金と比べても魅力を感じていただけると思います。
さらに現在サービス開始記念として、12週間満期で10%の年率での提供キャンペーンを実施していますので、すでにUSDCをお持ちの暗号資産ユーザーの方はもちろん、資産運用の選択肢の一つとして、これまで暗号資産やステーブルコインを持ったことのない投資家の方々にもご利用いただきたいと思っています。
→さらに「Berachain」について詳しく知りたい方はこちらから(SBI VCトレード Berachain 特設サイト)
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取材/編集:幻冬舎 あたらしい経済編集部
<本記事について>
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